第792号 性犯罪 被害者に寄り添う

2017年6月10日 (土) ─

 現在、国会では刑法改正法案が審議されています。

◆厳罰化の背景
 今回の大きな目玉は、強姦罪規定の見直しです。暴行又は脅迫による性交は、男女の別なく罰し、さらに、法定刑の下限を3年から5年に引き上げるとしています。

 これまで我が国における性犯罪の法定刑は他の重大犯罪に比べて軽いものでした。 例えば刑法では、強盗罪は5年以上の刑とされてきたのに対し、強姦罪については3年以上にとどまっていました。

 しかし、性犯罪は、被害者の心身に多大な苦痛を与え続けるばかりか、人としての尊厳を著しく侵害するもので、財産を盗られる以上の侵害が生じえます。

 私たち民進党はこれまで、関連団体などから丁寧なヒアリングを行い、性犯罪の重大性、そして今後の抑止のためにも、厳罰化に向けた法改正は最重要案件であると考え、今国会で刑法改正法案に最優先で取り組むよう政府与党に求めて参りました。

 しかし、会期末を控えた現在、「共謀罪」法案の成立と天秤にかけられ、十分な審議がなされているとは言いがたい状況です。

◆声なき声に応える
 今回の改正は、これまで声を上げることができなかった方や、その周りでともに暮らす方々の思いに応えるものです。

 例えば、今まで性犯罪は被害者の告訴がなければ起訴が出来ませんでしたが、改正案ではこの規定を削除することとしています。

 他の犯罪と違い、性犯罪の告訴には大きな精神的苦痛と負担を伴います。その負担のために告訴をあきらめ、被害者が「泣き寝入り」するケースも数多くありました。 
 
◆「正義」を実現する
 厳罰化については、えん罪や被害者のプライバシー保護への懸念などが指摘されています。

 えん罪を生んではならないということは当然です。

 しかし、それを隠れみのに、本来処罰されるべき者が処罰されず、被害者が泣き寝入りするような、「正義」が通らない現実は明らかに法の不備であり、これに対処することは立法府の義務と言えます。

 また、犯罪の性質上、家族や周りの人に相談することもできずに被害者が一人で抱え込み、家族関係や人間関係に支障をきたしてしまう場合も少なくありません。

 一人の生活者として、ともに街に住まう者として、そうした「繋がりを断ち切る」犯罪に対しては毅然と立ち向かっていきたいと思います。
 
 性犯罪をめぐっては、「何をもって同意とするか」という認定の仕方にも問題があり、「同意があると思っていた」という加害者の言い訳が許されてしまう例もあります。

 先行する海外の法制度等も参考に、今回だけにとどまらず、被害者の声なき声に耳を傾け「正義」を実現するため、引き続き残された課題に取り組んでいかなければなりません。

 最も重要なのは、単なる法改正ではなく、被害者の思いを受けとめて真剣に国会審議を行い、一人ひとりに寄り添える改正がなされることです。

 今後、性犯罪に苦しむ方々が、勇気をもって社会に向き合えるよう、また、被害に遭う方が一人でも少なくなるよう真摯に向き合って参ります。(了)

 

スタッフ日記 「祭りの『規制緩和』」
 5月から6月にかけては、東京で多くの祭りが行われます。有名なところでは神田明神の神田祭りや、日枝神社の山王祭りがありますが、各地域の神社でも神輿が担がれる祭りが行われています。

 先日、仕事帰りの平日夜に、家の近くの神社のお旅所の前を通ると、ちょうど神輿の巡行が行われていました。

 町内の神社のお祭りのようで、神輿のサイズもそれほど大きくないものでしたが、はっぴを着た担ぎ手がたくさんいて、かわるがわる神輿を担いでは「セイヤ、セイヤ」と掛け声を上げ、周りの人もそれに歓声で応える、非常に活気のある祭りでした。

 そのまましばらく見ていると、見物客の中に熱心に写真や動画を撮っている外国人が何人かいることに気づきました。たまたま祭りに出くわした観光客か、仕事などで日本に住んでいる方なのかはわかりませんが、やはり神輿の巡行は海外の方にとっても興味を引く対象のようです。

 さて、東京は依然として人口が増え続けているため、平日の夜でも神輿の担ぎ手には事欠かない状況ですが、地方では神輿の担ぎ手が不足し、祭りがあっても神輿は蔵の中に入ったまま、というところが増えています。

 基本的に氏神様の神輿は氏子が担ぐものだとは思いますが、ここは例えばソーシャルネットワークで外国人観光客に祭りを告知し、伝統文化体験として神輿の担ぎ手になってもらうなどの「規制緩和」をしてみるのも良いのではないでしょうか。

 それで伝統が続くのなら、氏神様もきっと喜んでくださることと思います。(アタリ)

第792号 性犯罪 被害者に寄り添う