第779号 天皇退位、山場の議論

2017年3月11日 (土) ─

 天皇陛下の退位の法制度化に関して、各党派からなる全体会議の議論が山場を迎えています。私も民進党の皇位検討委員会事務局長としてほぼ連日会議に出席し、見解を述べています。

◆議論の経緯
 衆参両議長の下に設けられた会議で話し合う形式が採られたのは、国民の代表である国会が国権の最高機関として、政府の方針を追認するのではなく、主体的に意見を集約・表明するためです。

 政府は総理の下に設けられた、わずか6名の有識者会議による閉ざされた議論だけで、今上天皇一代に限って特例的に退位を認める方向を強く示す結論を出していました。

 しかし、我々民進党は、より安定的な皇位継承のためには、恒常的な譲位制度の創設が必要だと考えています。これは、過去124代の天皇のうち、58名が生前に退位されるなど、「譲位」が当たり前の制度であった長い皇室の歴史とも合致するものです。

 また、皇位継承は皇室典範により定めるとした憲法第2条に則って、皇室典範改正により譲位を実現することを方針とし、議論に挑んでいます。

◆歩み寄りと対立点
 「皇位継承の安定性の確保」の必要性については与野党ともにおおむね意見が一致しています。

 たとえば、我々が議論の開始を求めていた女性宮家の創設については、自民党も「先延ばしをすることができず、しっかり検討すべき」と述べています。

 しかし、次の2点についてはまだ対立が続いています。
①退位に「天皇の意思」が必要と法律に書き込むか否か
②退位を定めるのは皇室典範か特例法か

 ①について我々は、天皇の意思がなければ天皇の地位も成立せず、また、天皇の意思に反する強制的な退位を避けるためにも、「天皇の意思」が必要と定めるべきであると考えています。

 そして②については、一部で、与党が皇室典範の附則に、特例法で退位を定める旨の一文を書き込むという一定の譲歩を行い、野党との歩み寄りを図っているとの報道がなされています。

 しかし経過措置的な規定に過ぎない附則では、安定的な皇位継承にはつながりません。憲法第2条との関係を考えても、附則でお茶を濁し、本質的な議論を避けるような解決策には問題があります。

 これは単に法律上の問題ではなく、皇室のありかた、ひいては我が国の歴史観にも関わる問題であり、容易に妥協してはならない点です。

◆責任を持った結論を
 3月中旬にも全体会議の取りまとめがなされ、政府に送られた後に、政府が有識者会議の結論を下敷きにした特例法を国会提出する方向とも報じられています。

 しかしこれでは、政府に丸投げしてしまう結果となりかねません。国会は、皇位継承という国家の重要問題について、国権の最高機関として、後世に対して責任のある形の対応をとらなければなりません。

 全体会議では、主体的かつ公正で、国会としての矜持を示す取りまとめとすべきことを強く主張するとともに、並行して国会の正式な会議体である憲法審査会での議論も提起していきます。(了)

 

スタッフ日記「ダンスの力」
 私は愛知県出身で、去年から奈良の大学に通っています。今年の2月8日に、大学のダンス部として、奈良の冬の風物詩、なら瑠璃絵で踊りを披露させていただきました。

 やや紫を帯びた鮮やかな青=瑠璃色の電飾が地面に敷き詰められ、春日大社・興福寺・東大寺を光の道でつないでいる様子はとても幻想的でした。

 手もかじかむような寒空の下、総勢約20名の部員と共に、洋楽や昔の名曲、古風な音楽に合わせてリズミカルに会場を盛り上げました。

 当日は来賓を含め、約100名のお客様が見に来られ、ダンスの後のイルミネーション点灯の瞬間を共にしました。

 お客様が音楽に合わせて手拍子をしたり、歌を口ずさみながら楽しんで下さったので、私たちも笑顔で、そして全力でパフォーマンスをすることができました。私たちの「お客様に楽しんでほしい!」という気持ちと、お客様の「楽しい!」という気持ちがシンクロしたことに、大きな達成感を感じることができ、貴重な経験となりました。

 私は小学5年生の頃から、ずっとダンスを習いたいと思っていました。ダンスをしているとき、自分の感情を身体にのせて精一杯表現すること、そして、その感情を見ている人にも共有してもらうことに大きな喜びを感じるからです。 大学生になり、それを実現する機会が増えた今、とても幸せを感じています。

 ダンスには、楽しませたり、感動させたり、と人の心を動かす力があります。その力を多くの方に実感して頂けるよう、これからも練習に練習を重ねて、舞台にのぞんでいきたいと思います。(うまちゃん)

第779号 天皇退位、山場の議論