第761号 過労死・過労自殺を防げ

2016年10月29日 (土) ─

 大手広告会社の新入社員が昨年12月、行き過ぎた長時間労働が原因で自殺したニュースが話題になっています。国会議員として、悲劇を繰り返さないよう対策を加速させねばならないとの思いを改めて強く感じています。

◆深刻な過労自殺の現実
 日本で週49時間以上働く労働者の割合は、欧米諸国よりも高く、21.3%にも達します。 過労死白書によると、勤務問題を原因・動機の一つとする自殺者数は昨年だけでも2千人以上にのぼりますが、そのうち、労災認定されるのはほんの一握りです。

 中でも、20代から40代の自殺者が全体の約4分の3を占めるなど、働き盛りの労働者の自殺は深刻な問題です。

◆運用も含めた対策を
 根強くはびこる長時間労働に対し、これまでも法的な対応はとられてきました。

 実際、平成26年には「過労死等防止対策推進法」で国と地方自治体に対策を義務付けています。

 しかし、労働法制に関しては、法律が厳格に運用されない場合もあり、違法な労働環境が野放しにされるケースも少なくありません。

 そのうえ、労働監督機関の慢性的な人手不足も深刻です。 違法な労働が行われていないかをチエックする労働基準監督官の労働者1人あたりの率は、諸外国に比べ少ないのが現状です。

 すみやかに監督機関の増員を行って、法をきちんと運用できる態勢を整え、悪質だと判断できる場合には厳格な措置を取れるようにしなくてはなりません。

◆個人だけの問題ではない
 労働規制の強化は、経営者側に「コスト」と映る場合があるのも現実です。

 しかし一方で、短時間勤務を導入した結果、社員の生産性が上がり、業績を伸ばしている企業もあります。

 少子高齢化社会で優秀な人材を確保するためには、「働きやすさ」も重要な要素の一つです。つまり、働き方の見直しは、長い目で見れば、企業にとってのメリットになる可能性があるのです。

 知恵を出しあい、規制強化だけではなく、企業や経営者、そして、労働者にとってもメリットのある仕組みを作り上げる努力が必要です。

 また、現在、共働き世帯が増加していますが、夫婦がともに残業などで長時間労働を行いながら、同時に小さな子どもを育てるのは大変に難しいことです。

 少子化や子育てが、我が国の社会にとって大きな課題であることを考えると、長時間労働が単なる個人の問題に留まらないのは明らかです。

 こうした困難を、社会にとっての問題と認識し、必要な対策をとることは急務です。 悲劇をこれ以上繰り返さないため、そして何よりこれからを担う世代のためにも、長時間労働は是正しなければなりません。

 政府の「働き方改革」の本気度を見極めつつ、制度面そしてその運用の面で至らぬ部分があれば、具体的対案を示しつつ、政府を厳しく質して参ります。(了)

 

スタッフ日記「体験しないと伝わらない!!」
 最近話題のVR、バーチャルリアリティですが、体験されたことはありますか?

 以前「マンガが好きです!」と書きましたが、テレビゲームも好きな私は、新しいVRゲームが発売されると聞くや、1か月前から予約して体験会に行ってきました。

 順番待ちで並んでいるときから、前でやっている人を見てワクワクしっぱなしです。そして自分の順番がやってきました。

 頭にゴーグルを被り、説明を聞いてスタート。深海の神秘的な光景を体感できるダイビングシミュレーションゲームが始まりました。

 ヘッドセットを装着して周囲を見渡すと、上下左右すべてが海中、泳ぎ回る魚やウミガメに歓声をあげ、下を覗けば海底までのリアルな高さ(深さ?)にぞっとして背筋が寒くなります。

 …と、ゲームなのでこんなに平和なままでは終わりません。暗がりからサメが現れてこちらに襲い掛かってくると怖くて怖くて仕方ありません。

 口ではなかなか説明できないので、体験してください、としか言えないのですが、終わる頃には汗びっしょり、握りしめた手のひらに爪の痕があったくらいです。

 体験して数日後、全く同じゲームをテレビでダウンタウンの松本さんがやっていました。

 サメに向かって「アカンっ、アカンっ、アカンてー!」と絶叫しているその姿に、自分もこんな感じだったのかと今さらながらに恥ずかしくなってしまいました。 VR、チャンスがあればぜひ体験してください、本当にすごかったです!(ハム)

第761号 過労死・過労自殺を防げ