第758号 「真の保守」を目指す

2016年10月8日 (土) ─

 8月の天皇陛下のおことばを受け、政府は特措法によって一代限りの生前退位を可能にしようとしています。

◆「殯」(もがり)儀礼とは
 天皇陛下のおことばの中に、「天皇の終焉(しゅうえん)に当たっては、重い殯の行事が連日ほぼ2ヶ月にわたって続き、(中略)とりわけ残される家族は、非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが、胸に去来することもあります。」というくだりがありました。

 「殯」(もがり)とは、遺体をすぐに埋葬せず、一定期間安置しておく風習のことです。古代、天皇が崩御すると、殯と次期天皇の候補者選定などの儀礼が大掛かりに行われました。

 しかし、長期にわたる殯の期間には政治的な争いがしばしばおこり、皇位継承が不安定になりました。

 そこで、安定を図るために、皇位継承の契機は「死」から「譲位」へと転換されました。仏教の影響を受けた火葬を導入して殯を避け、先帝の死とは関係なく皇位継承が行われる「譲位」を恒常化したのです。

◆安倍政権と明治レジーム
 ところが、国家神道を国教化し、神仏習合を禁じた明治政府が誕生すると、天皇崩御の際の仏式儀礼は排除され、神式の「殯」が復活しました。つまり、1200年続いていた安定的な皇位継承の仕組みが壊され、不安定だった古代へと逆戻りしたのです。

 こうした、明治維新を良しとし、江戸時代以前の歴史を否定する考え方を「明治レジーム」と呼びます。

 3年前、天皇皇后両陛下は仏教の風習である「火葬」を望まれました。私の個人的な考えですが、その思いと、今回の「生前退位」、そして「重い殯」の行事をまるで忌避されるような「おことば」を重ねると、安定的な皇位継承に逆向する明治の「一連の宗教改革」に対する違和感が感じ取れます。

 そして「明治レジーム」とはつまり、力による覇権をも意味し、それは憲法改正に象徴されるような、一連の安倍政権の姿勢にも通じます。

◆真の保守主義を目指す
 民進党は、皇位検討委員会を設け、恒久的な譲位制度の創設も含めて幅広く検討することを決め、私は事務局長となりました。

 現在、生前退位は「特措法」として処理されかねない状況です。建前上は陛下の健康をおもんぱかって、とされていますが、拙速な対応は陛下の重い問いかけを軽視することにもなりかねません。

 安倍政権が進める現行憲法の改正や、「明治レジーム」への盲進に対し、我が国の皇統にまつわる歴史をひもとき、また、陛下の「おことば」を鑑みながら、我々はしっかりと議論をし、正しい道を選ばなくてはなりません。

 そして、それこそが我が国の長い歴史的伝統を大事にする、真の保守主義ではないかと考えます。(了)

◇参考文献:山折哲雄「死の民俗学―日本人の死生観と葬送儀礼」2002年岩波現代文庫、井上亮「天皇と葬儀―日本人の死生観」2013年新潮社

 

スタッフ日記「こだわり」
 私は週に1回以上食べるほどラーメンが大好きです。そのため、この夏のインターン期間中に事務所の皆さんに奈良の有名なラーメン屋に連れて行ってもらいました。

 好きになったきっかけは、野菜の入ったラーメンです。私はあまり野菜を好んで食べないのですが、多量の白菜、ニラ、ニンジンがピリ辛のスープによく合っていたためにペロリと平らげてしまいました。

 それで病みつきになり、私のラーメンを巡る旅が始まったのです。

 ラーメン屋には友達と行くことが多いのですが、たいていの友達はあっさりとした醤油ラーメンが好きなようです。

 しかし、私は背油がいっぱい浮いているようなこってりとした豚骨ラーメンが大好きで、あまりのこってり感に友達が食べ終わった後にトイレに駆け込むこともざらです。友達に申し訳ない気持ちもありますし、「20歳の女子としてどうなんだろう…?」と思うこともありますが、それでも私の豚骨ラーメンへの愛は変わりません。

 そして実は豚骨ラーメンだけではなく、パスタはカルボナーラなどのクリーム系が大好きです。どちらも白色で、知らず知らずのうちに白にこだわる自分がいるのかもしれません。

 しかし、どちらも脂肪分たっぷりで、このままでは本当に「20歳の女子としてどうなんだろう…?」ということにもなりかねません。

 白という色には始まり、出発という心理効果があるそうです。この秋、引き続き豚骨ラーメンを食べるためにも、スポーツなどの新しいことを始めたいと思います!(あすーも)

第758号 「真の保守」を目指す