第730号 原発事故から5年

2016年3月12日 (土) ─

 11日、東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から節目の5年が過ぎました。

◆見えぬ廃炉への道筋
 福島第一原発では、今も1日約150トンの地下水が建屋に流入し、溶け落ちた核燃料(デブリ)に触れて放射性汚染水となっています。実は、この大量の汚染水を止めない限り、廃炉作業の本丸であるデブリ取り出し作業を行うことはできません。

 私は原発事故直後、事故対応担当の総理補佐官として汚染水問題に取り組み、野党に転じてからも国会質疑でたびたびこの問題を取り上げてきました。

 現在、汚染水対策の「切り札」とされているのが凍土壁を用いた計画です。

 これは、原子炉周辺の地下に多数の凍結管を埋め込んで土壌を凍らせ、原子炉を囲い込む凍土壁を作り、汚染水の元となる地下水が建屋内に流れ込むのを防ぐというものですが、事故から5年たった今も運用開始には至っていません。また、運用が開始されても前例のない大規模な凍土壁の効果は未知数です。

 さらに、汚染水の発生源である核燃料デブリについては、ロボットを使った調査さえままならず、格納容器内で、どこに、どのような状態で存在しているのかについてすら把握できない状態です。

 政府は30~40年をかけて廃炉を完成する計画を出していますが、実態としては、その道筋が全く見えておらず、厳しいものといえます。私は、事故当時対応にあたった者として、与野党いずれの立場にあろうとも、この汚染水・廃炉の問題に全力で取り組んで参りたいと思います。

◆原子力政策全体の矛盾
 一方、廃炉への道筋が見えない中でも、政府は着々と原発回帰政策を進めています。

 その典型例の1つが核燃料サイクル政策です。使用済み核燃料を処理して再利用しようというサイクル事業を政府は進めてきましたが、青森の再処理工場は完成延期が繰り返され、高速増殖炉「もんじゅ」も稼働の見通しが立たないなど、行き詰まりを見せています。

 しかし、政府は現在、事業を担ってきた日本原燃を国の認可法人化することで国の関与を強め、核燃料サイクル事業を何としてでも維持しようと考えています。見通しの立たない核燃料サイクル事業を「国策」として維持しようとする政府の姿勢は、電力の自由化を進め、原子力発電の比率を可能な限り低減させるとしてきた政府自身の政策目標と矛盾するものです。

◆原発事故の教訓を忘れず
 未曽有の事故から5年が経ちましたが、福島第一原発の廃炉の見通しは未だ立っていません。また原発全般に関しても、安全性確保や、使用済み核燃料の処分に問題を抱えており、こうした状況下での安易な再稼働は認められるべきではありません。原発比率は大胆に低減させ、安全でクリーンな再生可能エネルギーを中心とした発電構成へと移行を進めるべきです。

 民主党は公約で「2030年代に原発ゼロを達成するためにあらゆる政策資源を投入する」と掲げています。事故の教訓を忘れず、原発回帰を進める政府与党と対峙して参ります。(了)

 

スタッフ日記「マイルドがお好き!?」
 カフェでアメリカン、と注文する人をよく見かけます。

 アメリカンって、アメリカ産?アメリカ仕様?アメリカ人が好むコーヒー?とずっと疑問に思っていました。

 先日朝のミーティングで代議士に、「お湯くらい薄いアメリカンで」と言われました。

 お湯…?コーヒー…?アメリカン…?疑問に思いましたが、とりあえず普通に淹れたコーヒーにお湯をたくさん加えて薄めました。美味しくなかったとは思いますが、代議士は何も言わずきれいに飲んでくれました。

 そんな事があり「アメリカンコーヒー」について知りたくなりました。

 私はこれまで通常のコーヒーをお湯割りにして薄くしたものをアメリカンだと思っていて、薄くしているのに同じ値段だと損な気がして、無理して苦いコーヒーを頼んでいました。

 調べてみると、アメリカンと言われるコーヒーは浅く、軽く焙煎した専用のコーヒー豆でいれたちゃんとしたコーヒーで、今流行の深入り焙煎の逆で苦みが少ないマイルドなお味だけれど、決して薄めたものではないということが判明。

 アメリカンとひとこと言うとおしゃれでこなれたイメージがしますが外国に行くと通じないそうです。日本限定です。

 しかし、今コーヒー豆の流通量が少なくて大変、と行きつけのカフェのマスターが言っていて、ありがたく頂きたいと思いました。

 奈良事務所のコーヒーが飲めなかった若手エース、森田君は最近飲めるようになったと得意げにしています。この間はじっくり味わってひとこと「芳醇…。」(葉っぱちゃん)

第730号 原発事故から5年