第727号 安易な年金減を許さず

2016年2月20日 (土) ─

 安倍総理は、15日の衆院予算委員会で、年金の運用状況次第では、将来的に年金支給額の減少もあり得るとの認識を示しました。

◆年金を株式運用重視に
 これまで年金積立金は、利率は低いものの安全な国債を中心とした運用がなされてきました。

 ところが、この年金積立金を安倍政権は株式などへの投資で運用する方針を示し、現在、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が積立金の50%を目安として国内外の株式市場への投資を行っています。

 株式を中心とした運用は、当然ながら株価の値動きによって損失が生じることもあります。特に今年に入ってからの国内株式市場は乱高下しており、全体としては下降トレンドが続いています。こうした中で安倍総理は、株価が低迷して損失が発生した場合、必然的に投資資金となった年金積立金からの年金支払いも減額せざるを得ないという認識を示したのです。

◆株式運用拡大が招くリスク
 年金の最も重要な機能は、国民の老後の生活の最低保障です。しかし、基礎年金額は年々目減りし、老後の主たる生計費としての機能を果たさなくなっています。

 現在、基礎年金のみを受給している高齢者は800万人以上いますが、その平均年金額は一月約5万円で、このままでは、貧困に苦しむ高齢者が激増し、その多くが生活保護に流れ込む恐れがあります。

 このような状況での年金支給額減は、高齢者にとって死活問題であり、安倍総理の発言は無責任と言うほかありません。

 また、国民年金のみに加入する人の納付率も、かつては80%を超えていましたが、2014年度には63%へと低下しています。将来、支給額の減少が生じるかもしれないとなれば、年金制度に対する疑問が納付者に広がり、さらに納付率が低下しかねません。

 従って、年金積立金の投資運用比率を高めているにも関わらず、リスクについての対処を怠ることは、制度の長期的な維持の点から非常に問題が大きいと言えます。

◆持続的な年金制度の構築を
 高齢化社会を迎える中、社会保障の根幹である年金制度は堅持しなければなりません。そのためには、株式などへの投資運用比率を下げてリスクを減らすことがまず必要です。

 また、年金制度自体の改革として、基礎年金部分の国庫負担や、年金生活者支援給付金を拡充し、保険料免除期間の国庫補助割合を引き上げるなどにより、低所得者への給付水準を引き上げることが重要です。

 そして、高所得高齢者層への年金支給の一部を低所得層へと振り分けるといった世代内での再分配機能の強化も考えなくてはなりません。

 私は、これらの改革について私案を発表し、民主党の年金制度改革案に反映させてきました。年金を投資資金として使うか、あくまで社会的なセーフティネットとして安定性を重視した上、再分配を通じて最低保障機能を強化していくかは、社会保障政策における一大争点です。参院選に向けて持続可能な年金制度の具体案を打ち出し、政権に対峙して参ります。(了)

 

スタッフ日記 「『その日』は突然に」
 メロンパンなしには私の人生は語れません。親友との大喧嘩も大学受験も、メロンパンと一緒に乗り越えてきました。優しい外見は私を癒してくれ、サクサクのクッキー生地は勇気をくれ、ふわふわのパン生地は私を包み込んでくれました。

 私は今年度、晴れて大学生となって一人暮らしを始めたのですが、最寄り駅の前に、メロンパン専門店を発見したときには、飛び跳ねたくなるほど歓喜しました。全ての思考を奪う甘い香り、歯が奥に到達するまでの刹那に広がる風味とカリッとした食感、そして噛むほどに甘みを増してゆくパン生地。幸せとはこのことか。「長年の夢だった“最高のメロンパンと過ごす大学生活”が実現する!」と、一日中ニヤニヤが止まりませんでした。

 それから毎日、その店に通いました。朝食として、昼食として、おやつや夜食として、その店でメロンパンを買いました。しかし、夏休みを過ぎ、秋学期に入ると、帰宅は夜遅くなり、朝は買い物をする時間もなく、店に寄るのは二週間に一回ほどにまで減っていました。

 そして、「その日」は突然やってきました。冬休みの帰省から帰ってくると、店が閉じています。次の日もその次の日も。「なんでだろう?」と不審に思い、降りきったシャッターに近づくと、貼り紙がありました。完全閉店…。

 訪れた絶望。愛していた恋人が突然姿を消したときの気持ちとはこういうものなのでしょうか。あぁ、私の、夢の“最高のメロンパンと過ごす大学生活”よ。寂しくなって逃げてしまったのかい?

 新たなメロンパンとの出会いは、この傷を癒してくれるのでしょうか…。(プチメロ)

第727号 安易な年金減を許さず