第700号 疑問多き安倍談話
14日、安倍政権は戦後70年の「内閣総理大臣談話」を閣議決定しました。
◆政権の迷走を象徴
「安倍談話」には安保法制審議などで迷走する政権の現状が表れています。総理は談話で、「侵略」、「反省」、「植民地支配」、「お詫び」といった歴代総理が談話で述べてきたキーワードに触れていますが、それは引用などの一般的・間接的な表現に留まり自らの言葉として語っていないため、その真意は測りかねます。そのような中途半端な触れ方をしたのは、安保法制をめぐり支持率が低下し、総理本人の意向と異なる「お詫び」等にも触れざるを得ない状況に追い込まれたためと思われます。
一方で、談話には総理が以前から強調してきた「積極的平和主義」の推進を打ち出すなど、戦後我が国が堅持してきた平和主義を変質させる姿勢を前面に押し出し、安保法制を何としても成立させたいという政権の本音が垣間見えます。
◆真の「未来志向」とは
戦後70年を迎えるにあたり、何より我が国に求められるのは、先の戦争がなぜ起きたのかを現在の我々の視点で再整理することです。真の「未来志向」とは、過去の「過ち」を曖昧にすることではなく、過去を冷静に見つめ、その教訓をこれからに活かすことです。
しかし、現在国会審議中の安保法制を見ると、戦前の反省と教訓が活かされているとは到底言えません。戦前、軍部は大日本帝国憲法の統帥権を都合よく解釈し、結局憲法を骨抜きにして暴走していきました。そこには、「際限なき裁量行政」と、誰が責任を持つのかが明確にならない「無責任の連鎖」があったのです。
これは、今の日本にも共通する問題です。安保法制において、政府は、憲法を解釈により変更し不明確な基準のもとに海外派兵を可能にする法案を、国民への説明も欠いたまま成立させようとしています。時の政権の裁量による歯止めなき派兵につながりかねず、先の戦争の「反省」を十分に反映させた法案とは言えません。
◆将来世代への言及
また、談話は子や孫に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない、とも述べています。しかし、これは総理自身が、自らのイデオロギーの正当化に情緒的に将来世代を持ち出しているに過ぎません。本来、将来における謝罪等を判断するのは私たちの子や孫たち自身です。我々にできることは、負の遺産を解消するための外交努力を続けると共に、過去を見つめなおし、未来への教訓とするための事実を冷静に検証し、次の世代へ伝えていくことです。ドイツのメルケル首相は今年、「歴史に終止符はない」として、ドイツ人はナチスの行為を知り注意深く敏感に対応する責任がある、と述べています。我々としても傾聴に値する言葉と言えます。
こうした安倍総理の姿勢に対し、私は先の戦争の教訓を胸に刻み、これまで取り組んできた「不作為による無責任の連鎖」、「際限なき裁量行政」を正す、という課題に取リ組み続け、冷静かつ現実主義の安保法案対案を提示し、政権に対峙していく所存です。(了)
スタッフ日記「漢字の底力」
先日フジロックに行ってきました。フジロックとは、毎年7月末に苗場スキー場で行われる国内最大規模の音楽フェスティバルで、外国人のお客さんもたくさん来ています。私もひょんなことから仲良くなったスペイン人3人組とサングリアを飲んだりしながら楽しく過ごしました。
しかし楽しい時間には終わりがあるもので、日曜の夜、また来年か…、と寂しい気持ちで宿までの道を歩いていました。 すると、宿の前で東アジア系のカップルに英語で話しかけられました。どうやら、シャトルバスの時間(朝の5時~昼の12時)がわからず困っているようでした。
恥ずかしながら、私は英語が話せません。辞書があれば何とか読むことはできますが、話すとなるとさっぱりです。しかし、このくらいなら単語を並べれば大丈夫だろう、と「バス スタート ファイブ オクロック!」と言ってみました。…ダメです。腑に落ちない顔をしています。悪いのが単語なのか、発音なのかもわからないので、「バス フィニッシュ トゥエルブ オクロック アフタヌーン」と続けても伝わる気がしません。しかも、最終日のバスは混むので、早めに並んだ方がよいことも教えてあげたいのですが、浮かぶ単語は「メニーピープル」だけでした。
困りました。向こうも困惑しながら中国語で何やら話しています。あ、中国語?!漢字?
すぐに「ペーパー!ペン!」と単語と身ぶりで伝え、筆談開始です。まず「始:5時 終:12時(昼)」と書きました。相手もはっきりと「わかった」という顔をしています。続けて「多人数 並」と書きました。これもOKです。 その後バスの乗り場などもスムーズにやりとりができ、カップルも満足顔、私も「漢字すっげー!」そんなことを思いながら帰途についたのでした。(シズ)