第674号 6年ぶりの予算質疑

2015年1月31日 (土) ─

 1月29日に、野党の予算委員として6年ぶりに予算委員会の質問に立ち、エネルギー政策と原子力政策について、安倍総理や宮澤経済産業大臣と議論を戦わせました。

◆電力寄りのコスト検証
 現在、川内原発と高浜原発の再稼動が問題となるとともに、福島第一原発を巡る汚染水処理などの諸問題も未だ解決とはほど遠い状況です。

 このような状況の下、政府はエネルギーのベストミックスについての議論を実に3年ぶりに始めました。ベストミックスとは、火力や水力といった様々な発電形態の特性を踏まえて、環境性、経済性、供給安定性の観点から、電源構成を最適化することです。

 ベストミックスを議論するためには、発電コストを検証することが重要です。今回、経産省は、有識者による「発電コスト検証ワーキンググループ」を設置して、電源ごとの発電コストの検証を行うとしています。

 しかしながら、このワーキンググループは、7名中、座長を含む2名が同じ民間研究機関出身であり、しかもその研究機関は資金の出し手として電力関係が名を連ね、役員などにも電力関係者が所属し、さらに経済産業省やその関係の独立行政法人が主な研究委託元となっています。

 公平・中立なコスト検証が行われるためには、様々な意見を持った異なる立場の委員が議論を戦わせることが必要です。同じ民間団体から複数の委員が選ばれるような構成で、これから行われるエネルギー政策の議論の前提となる発電コストを検討していくことは、多くの国民に公平・中立性に対する疑問を抱かせることになります。これではとても国民の納得は得られません。

 質疑では宮澤経済産業大臣を厳しくただすと共に、ワーキンググループ委員の増加を図るなどして公正さを確保することを強く求めました。

◆不明確な原子力政策
 原子力政策においても、国の方針は迷走しています。

 政府は昨年4月に打ち出したエネルギー基本計画で、原子力を「重要なベースロード電源」と位置付けました。一方で、宮澤経済産業大臣は、「現時点で、原発の新増設やリプレースは考えていない」と記者会見で述べています。

 この矛盾を質疑で大臣にただしたところ、「今後の20年間を視野に入れると、原発も十分ベースロード電源となるので、矛盾するとはいえない」という旨の答弁がありました。

 しかしながら、国内の原発には設備の老朽化で20年以内に廃炉が見込まれるものも多く、客観的に考えて、政府は今後の方針として原発のリプレースを織り込んでいるものと考えます。

 安倍総理の答弁も、電力安定供給の責任を果たしていきたい、などの一般論に終始しており、残念ながら政府の具体的な原子力政策に対する真正面からの答弁はありませんでした。

 このような無責任な政府の姿勢に対しては、今回の通常国会を通じ、徹底的に追及してまいります。今後の予算委員会でも原発・エネルギー問題を中心として、しっかりと調査に基づいたエビデンスを示し、論戦を通じて具体的な政策案を提示して行きたいと思います。(了)

 

スタッフ日記「酸っぱいミカン」
 島根県の草深い田舎で育った母はミカンが好きで、庭になったびっくりするほど酸っぱいミカンを1人で嬉しそうにずっと食べている人でした。

 母が近所のスーパーに働きに行っていた事がありました。ある夜こたつで僕がウトウトしていると、母が妹に相談をしている声が聞こえてきました。女性ばかりの職場でなんだかいじめを受けているらしいのです。

 どうやら母のいる部署はこれまでも、新人のパートさんが古くからいる同じグループの人の嫌がらせを受けて辞めることが何度もあり、上司も手をつけられない状況が長く続いていたようでした。

 のんびり屋の母は自分がいじめの対象になっている事に気づくのに大分時間がかかりました。代わりに気の強い妹は「私が行って言うたる!」と息巻いていましたが、さすがにそんなわけにはいかず、結局嫌がらせがどんどんエスカレートする中、母はその後も何事もなかったようにその職場に通い続けました。

 温かくなったころ、グループのボス格の人が上司に「母をや辞めさせないなら自分が辞める」、と直談判をした事があったそうです。彼女としては、古参の自分は当然残されるという自信があったのでしょう。

 ところが上司は彼女に「では辞めて下さい」と引導を渡し、このいじめはあっさりと終結し、ふだんは人前で自己主張などほとんどしない母の粘り強さに私は驚いた記憶があります。

 そんな母が他界してからもう10年以上たちます。今年も庭になった酸っぱいミカンを見ると志をもった母のように粘り強く生きていくことができればと思っています。(チュウ)

第674号 6年ぶりの予算質疑