第655号 取り繕いの内閣改造
3日、安倍首相が、内閣改造、自民党役員人事を行いました。その顔ぶれには目新しさはなく、今回の人事からは、安倍首相の焦りが垣間見えます。
◆「地方」と「女性」の意味
第2次安倍改造内閣は、地方創生や女性の活躍推進を臨時国会のテーマに掲げています。しかし、この「地方」と「女性」こそが、他でもない自民党政権の弱点と言えます。
それが如実に表れたのが、今年7月の滋賀県知事選でした。自民党はアベノミクスが地方に恩恵を与えると訴えて選挙戦を戦いましたが、中央集権的・強権的な体質に有権者が否定的な態度を示し、さらに、自民党都議や自民党国会議員による、いわゆる「セクハラやじ」が女性有権者の反発を招きました。
これに対し、元民主党衆院議員の三日月大造知事は、草の根自治による地域経済の活性化を訴えました。さらに、嘉田由紀子前知事の後継候補として、女性や子どもの立場に寄り添う姿勢が評価され、当選を果たしました。
安倍政権にとって、当初勝てると見込んでいた滋賀での敗北はよほどショックだったのだと思われます。今回の人事は、女性閣僚の登用など、来年4月の統一地方選に向け、マイナスイメージを払しょくすることに躍起になっていることが色濃く出た人事だったと言えます。
◆地方創生に中身はあるか?
重要なのは政策の中身です。もし中身が伴わないのであれば、安倍政権は、ほころびを取り繕うために顔ぶれを変えたと言われても仕方ありません。
安倍政権が目玉政策として掲げる「地方創生」に注目すると、それは、民主党政権の柱だった「地域主権」を言い換えただけのものですが、肝心な政策が抜け落ちています。
民主党政権は、国が使途を限定する従来の「ひも付き補助金」を廃止し、地方が一定の裁量で自由に使える「一括交付金」を創設しました。財源を地方に移し、地域のことは地域が決める、それでこそ本当に活力ある地方が育つ、そのような意図に基づく政策です。これまでにない取り組みで、当初、地方には戸惑いもありましたが、振り返ってみると「あれは良かった」との声をよく聞きます。しかし、安倍政権になって、一括交付金は廃止され、中央集権型の「ひも付き補助金」が復活してしまいました。
地方創生を掲げる以上、一括交付金の復活は不可欠です。臨時国会では、真っ向からこの問題を問いただしていきます。
◆与党の内輪の論理を許さず
さらに、与党の結束にも綻びが見えてきています。
与党内には、生活必需品の消費税率を低く抑える軽減税率の導入を強く求める声がある一方、慎重論も根強くあります。成長戦略の一環となるIR推進法案(通称・カジノ法案)に関しても、賛否両論があります。さらに、集団的自衛権の行使容認に関しても、先送りした関連法案の取りまとめ作業は難航必至です。
国民生活に関わる重要事項が、与党の内輪の論理と調整で決まっていくことを、このまま許すわけにはいきません。国会論戦を通じて、与党間にひそむ政策の乖離、そして問題点をあぶり出していきます。(了)
スタッフ日記「城島茂渋滞」
今年も24時間テレビの放送が終わりました。番組のあり方に関しては毎年議論を醸していますが、今年で37回目を数えるにも拘らず、毎年高い視聴率を記録し、多くの募金を集めているという点では一定の意義があるのだろうと思います。
目玉は何といっても24時間マラソンです。ランナーたちの必死の取組みに加え、時間内にゴールできるのかというハラハラ感もあり、視聴率アップに貢献しています。
実は私はコースに頻繁に採用される国道246号線沿いに住んでいます。つまり家から歩いて15秒くらいの所をランナーが走ってゆくのです。大概は私が寝ている間に通り過ぎてしまうのですが、それでもやはり「近所が映らないかな?」と頻繁にチェックしてしまいます。
今年は沿道に集まる人の多さが話題になりました。ランナーがTOKIOの城島茂さんという事もあるのでしょうが、ネット上で、道路交通情報センターが「城島茂渋滞」を報じた、という冗談が飛びかうほどなので相当です。
以前は私のように「近所だから」と出てくる人ばかりだったようですが、最近はツイッターなどで現在位置が特定され、それを見て通過予想ポイントに応援に来るという人(福岡から来た人もいました!)も多いようです。
間寛平さんが走った1992年の第1回目の24時間マラソンはルートを事前に公開してしまったがために人が殺到し、途中棄権をせざるをえませんでした。
今はルートが非公開ですが、「意図せぬ形で」同じ問題に直面している、そう考えると、新しい技術も良し悪しだな、そんな事を考える24時間でした。(シズ)