第616号 強行採決で見えたもの
26日夜、本会議で、自民、公明、みんな、維新の4党が提出した特定秘密保護法案の修正案が強行採決されました。私を含む民主党議員は反対したものの、与党とみんなの党の賛成多数で可決されました。
◆尖閣事件と情報保全法制
2010年11月、当時国交大臣だった私は、「尖閣ビデオ」の流出による「情報漏えい」により、参院で問責決議を受けました。そこで感じたのが、「国家機密」の定義の曖昧さでした。本当に守るべき秘密が何なのか、その定義と、情報公開とのバランスをどう取るのか、それらを審議するために、政府内に検討組織を立ち上げることを当時の仙谷官房長官に提案しました。
その後、政府内に、「政府における情報保全に関する検討委員会」が立ち上がり、議論が重ねられ、2011年8月には報告書がまとめられました。その意味で、私自身、行政の情報保全制度の構築との関わりは深いと言えます。しかし、今回の法案は、当時の議論とは似て非なるものです。当時の議論は、守るべき秘密は何かを明確化するということが、議論の根底にありました。一方、今回の法案は、何を秘密とするかが極めて曖昧で、しかも当時議論されていた情報公開の観点が欠けています。「国防軍」などを主張する安倍政権から、このような法案が出てきたことについて、懸念を持たざるを得ません。
◆「自公維み」4党枠組の意味
行政による過度の情報隠しを防ぐ観点から、民主党は、①対象となる秘密を限定、②独立の第三者機関による監視、③秘密指定は原則30年とする対案を提出し、協議に臨みました。しかし、みんなの党が法案の微修正で早々に賛成に回り、それに引っ張られる形で、維新の会も修正協議で合意しました。本来、修正協議は、与党が野党に譲歩する形で行われるものですが、今回の協議は、終始、与党ペースで進められ、秘密の範囲の曖昧さや第三者によるチェック機能の欠如等の法案の問題点は、何ら解決されないまま4党で修正合意されてしまいました。
今回の法案をめぐる動きにより、維新、みんなの第三極が、秘密保護法制のような国民が重大な懸念を持つ法案審議において、与党の補完勢力化してしまう状況が明らかになりました。両党は、集団的自衛権の行使容認や憲法改正について、安倍政権と考え方が近く、今回、「自公維み」4党の枠組みができたことは、今後、極めて大きな意味を持ってくる可能性があります。首相は、集団的自衛権や憲法改正を目標としており、政権幹部から「4党での実績づくりはできた」との声が漏れるなど、今後、これらのテーマで連携が進む可能性があります。
また、かつての自民党では、穏健保守の勢力があり、急進保守的な動きに対して党内でバランスをとろうとする動きがありました。しかし、今回、自民党内は沈黙し、そのような動きはありませんでした。
今回の強行採決で、以上の構図が見えてきたことで、民主党としては、進むべき道が明らかになりました。急進保守的・タカ派的な政策に対して、多くの国民の「良識」に沿った政策を掲げて闘う。日本の政治のバランス感覚を取り戻す。そのような声の受け皿になるべく私自身、研鑽を続けて参ります。(了)
スタッフ日記「42」
24日に仙台で行われた楽天イーグルスの優勝パレードは大きな話題となりました。なんと21万人が歓喜の中、声援を送ったそうです。
私はマー君がマウンドに立った日本シリーズ最終戦を居酒屋で観ていましたが、画面を通じても人々の希望や願い、想いが伝わってくるように感じました。
先日、メジャーリーグ史上初の黒人選手、ドジャースのジャッキー・ロビンソンの人生を描いた映画を観る機会がありました。
第二次世界大戦の直後、白人選手しかいないメジャーリーグで、むき出しの敵意や無理解に翻弄されながら、たった1人の黒人選手が困難に立ち向かう物語でした。
チームメイトからの嫌がらせ、相手チームや野球ファンからの凄まじいヤジや脅し、それから怒号の中で彼はただ黙々と懸命にプレーします。
彼のその姿は徐々にチームメイトやファンの心を掴み、やがてチームは様々な障害を越えて1つになります。そしてその流れは次第にアメリカ社会全体を大きく変える波へと変化してゆくのです。
今、メジャーリーグでは彼の背番号42番は全球団の永久欠番となり、年に1度、全選手が42番をつけてプレーする日が設けられているそうです。
スポーツっていいもんですね!スポーツは私達に勇気をくれ、そして時に大切な真理を教えてくれます。
東京に2020年のオリンピックが決まり、そしてその前の年にはラグビーのワールドカップも日本で行われます。その時この国から勇気と希望が世界に発信できればといいなと思います。(チュウ)