第606号 「遮水壁公表見送り」の真実 

2013年9月21日 (土) ─

 福島第一原発の汚染水問題に関する閉会中審査が、27日・30日に開かれる見込みです。閉会中審査の前に、議論の前提となる2年前の遮水壁公表見送りの経緯についてお伝えします。

◆2年前の遮水壁設置計画 
 原発事故直後の2011年3月26日、私は、事故対応担当の総理補佐官に就任し、放射性物質の陸海空における拡散防止対策に取り組みました。東京電力は、「目に見える」陸と空における対策については早期に取り組んだものの、「目に見えない」地下水による海洋汚染への対応には当初から消極的でした。もとあった台地を約20m切土し、地下水位より低い位置に作られた福島原発が、地下水による影響を受けていないことはありえない、私は土木に携わった経験から直感的に考えました。そして、福島原発に関する過去の地下水漏洩工事の履歴を調べ上げ、その事実を東電に突き付け、当初、「問題ない」とかたくなに主張していた東電に、地下水の流れに関する解析を命じました。その結果、地下水が原発サイトを洗い流すように流れ込み、海へ流れている事実が明らかになりました。 

 地下水が原発サイトに流れ込み、汚染された地下水が海へ流出することを防ぐため、考え出したのが、原発サイトの周りを囲み、難透水層がある地下30mまでベントナイトという素材で壁をつくる遮水壁の設置でした。

◆遮水壁の発表見送り 
 遮水壁設置について、チェルノブイリなどの過去の事例を踏まえ、また、日本原子力研究開発機構や米国NRCとも連携し、工法や材料等の詳細も決まり、6月11日、私は、当時高線量下だった福島第一原発に、対策チームの政府側代表として入り、4号機建屋の耐震補強工事を指揮するとともに、遮水壁の境界画定を行いました。その時点で計画は実施段階にありました。 

 しかし、6月下旬に株主総会を控えた東電は、遮水壁設置を公表した場合、当時1000億円とも言われた遮水壁設置費用の計上、それによる債務超過を恐れ、計画の公表をためらいました。 

 私自身は、公表を強く主張しましたが、当時、東電の救済スキームの整備も出来ていない状況であり、市場の混乱を避けるという判断にも理由がありました。結局、プロジェクトの実務を担う対策チームとしては、公表内容の如何にかかわらず、「遮水壁については遅滞なく進める」旨、当時の海江田経産大臣、東電の武藤副社長の確認をとり、公表については、政権中枢の判断に委ねることとしました。

◆事実を事実として 
 結局、公表は、「遮へい壁の検討」という表現にとどまる形で行われました。対策チームは、「遅滞なく進める」との確認に基づき、その後も実施に向けた作業を進めていましたが、6月27日に私が補佐官を解任され政府を去ると、その後計画は棚上げされてしまいました。 

 これらの経緯について、東電はこの期に及んで事実を認めようとしません。民主党政権にも反省すべき点があったことは否めません。しかし、事実を事実として受け止めなければ、廃炉に向け、今後も同種の問題が生じかねません。対策を前に進めるため、閉会中審査で真実を明らかにしていきます。(了)

 

スタッフ日記「コーヒーと紅茶、どちらにしますか?」 
 何らかの成分が身体に合わないらしく、私はコーヒーが飲めません。コーヒーだけではなく、紅茶も、ビターチョコレートもダメ、緑茶は出がらし専門です。 

 正確に言えば、口にすることはできるのです。ただ、そのあと必ず車酔いしたときのように気分が悪くなり、ひどいときには貧血よろしく往来で倒れてしまうことさえあります。 

 とはいうものの、代わりのものはいくらでもあるので普段はそれほど支障はありません。しかし、どうしても不可避のシチュエーション、というのがあります。具体的には、出先で「コーヒーと紅茶、どちらにしますか?」そんな風に聞かれる時です。 

 先方とある程度親しければ、「どちらも飲めないのです」と素直に申告できます。でも、初めて訪問する所や、目上の方にお会いする場合などはなかなかそうも行きません。 

 かろうじて「お気遣いなく」などと言ってみても、大概は挨拶の一環のようなかたちで捉えられ、逆に「ご遠慮なさらずに」とやさしく受け流されてしまいます。少し勇気を出して「お水で構いません」と答えたこともあったのですが、やはりこれも遠慮だと思われ、実現されたことはありません。 

 そうしてお出しいただいたコーヒーや紅茶は全く手をつけないというのもそれはそれで失礼な気がして、少しずつ頂きます。そうすると用事が終わる頃にはもうアウトです。生あくびを繰り返しながら文字通り[ほうほうのてい(漢字だと:這う這うの体)]で何とか帰るという有様です。 

 ここ数年で「お酒、飲めません」はずいぶん市民権を得てきました。比べてコーヒーや紅茶はまだまだハードルが高いように思えます。何とかうまく伝える方法、ないものでしょうか?? (シズ)

第606号 「遮水壁公表見送り」の真実