第595号 借金に頼らない成長戦略を
14日、安倍政権は、成長戦略及び中長期の経済財政政策の基本方針を閣議決定しました。
◆戦略分野は民主政権と同じ
経済再生のためには、大胆な金融緩和で金の流動性を高め、財政出動で短期的な景気刺激を行う間に、成長戦略の実行により経済成長を軌道に乗せる必要があります。その意味で、成長戦略はアベノミクスの「三本の矢」の核となるものです。
発表された成長戦略を見ると、戦略分野として、「クリーン・経済的なエネルギー」、「国民の健康寿命延伸」、農林漁業の6次産業化を中心とする「地域資源で稼ぐ地域社会の実現」、「次世代インフラの構築」の4分野を掲げています。このうち、「次世代インフラの構築」以外は、昨年7月に民主党政権で閣議決定した「日本再生戦略」の重点三分野である「エネルギー・環境」、「健康・医療」、「農林漁業」に対応したものです。少子高齢化やエネルギー制約の問題等、政権が変わっても直面する課題が変わらない以上、取り組むべき戦略分野は自ずと限定されており、戦略を作り直したところでその結果は似通ったものになります。それにもかかわらず、約1年前に策定されたものとほぼ同じ成長戦略の策定に政権発足後半年を要したことには憤りを感じます。
また、自然エネや省エネ、蓄電池等のエネルギー分野に関しては、2020年に目標とする市場規模を民主党政権時の50兆円以上という目標から10兆円へ下方修正する等、後退した分野も見られます。これは、安倍政権が確固としたエネルギー政策を未だ持ち得ていないために大きく踏み込むことができなかったことの現れに他なりません。企業の積極的な投資を呼び込み、新産業を創出するためには、政権が先送りしているエネルギー政策の議論を急ぐべきです。
◆アキレス腱は財政政策
安倍政権の経済政策のアキレス腱は財政政策です。今回閣議決定された経済財政政策の基本方針では、従来の財政健全化目標が踏襲された一方、成長戦略では、「次世代インフラの構築」が掲げられ、また、今国会には国土強靱化基本法案が提出されています。さらに、自民党幹部からは、「10年で200兆円」の公共事業投資が主張されています。
過去の予算を見ると、1990年度から政権交代が行われた2009年度の19年間に公共事業関係費に計約202兆円が使われています。それもかかわらず、1990年に2.0~2.2%だった完全失業率は、2009年7月には5.5%と倍以上に悪化し、また、1990年に名目8.0%、実質5.6%だった経済成長率は、2009年には名目-6.0%、実質-5.5%となり(この間の平均値は、名目0.7%、実質1%)、長期の景気低迷とデフレを招きました。そして、国と地方の借金である長期債務残高は、1990年時点の266兆円から2009年時点で820兆円へと554兆円増えました。国民1人当たり約440万円の新たな借金を背負ったことになります。
基本方針では、毎年1兆ずつ増える社会保障費の伸びをどう抑えるか等について具体的な方策は示されていません。過去の公共事業投資に偏った経済・雇用政策の失敗の教訓や、今年秋に判断する来春の消費増税との関係を踏まえつつ、経済成長と財政健全化を両立する具体的な方策についての検討を急ぐ必要があります。(了)
スタッフ日記「夏至のごちそう」
三重の実家から国会事務所に段ボールいっぱいのビワが届きました。実家の畑の木になった自家用のものなので、お店で販売しているものに比べると小ぶりですが、しっかりとした甘みを感じます。
子供の頃はよく父や祖父が取ってきたビワやイチジクをおやつに食べたものでした。
ただ、今となってはいざ食べたい!と思っても、なかなか手が出ません。1パック分の値段でちょっとした定食が1食、アイスなら5個買えるんだなあ、そんな風に思うとどうしてもおなかに溜まるものを優先してしまうのです。
そういえば、イチジクで思い出したのが“夏至のごちそう”です。春分・秋分にはぼたもち・おはぎ、冬至にはかぼちゃが有名ですが、夏至で思いつく食べ物はあまりないかと思います。
以前出張先で「お兄ちゃん、これは夏至のご馳走だから食べなぁ」と出され、驚いたのがイチジクの田楽でした。半分に切ったイチジクに田楽味噌を塗り、天火で5分ほど焼き上げたものだそうです。
へぇ、珍しいなあ!と同僚と騒ぎながら、初めての味に驚きつつ美味しく頂きました。イチジクの一大産地、愛知の三河地方の風習です。
暑い夏はビール!というテレビのCMを無視(下戸なので)して、お供はよく冷えた枇杷とアイス。エアコンなしで都会の夏をどこまで耐えられるのか?などと考えながら、窓を全開にして頑張っています。
イチジクの田楽も作ってみようかなあ…。 (SCハマー)