第481号 ガバメント・シャットダウン
与謝野経済財政担当大臣は3月1日の記者会見で、与野党がなかなか歩み寄れない現在の国会情勢について問われ、「ガバメント・シャットダウン」という言葉を使ってその危機感を表明しました。
ガバメント・シャットダウン、日本語に訳すと「政府閉鎖」。予算の執行が困難になり、文字通り政府の機関が閉鎖されて行政の仕事がストップしてしまうことを意味します。アメリカでは1980年以降何度かこうした状況に陥っていますが、記憶に新しいものとしては民主党クリントン政権下の1995年の11月、12月から1996年1月にかけての2回、計21日間にわたるシャットダウンがあります。
アメリカでは、上院と下院がそれぞれ予算案を作って審議をし、一本化したものを大統領に送り、大統領がそれを承認することによって予算が成立します。
当時のアメリカ議会では、上院でも下院でも共和党が多数を占めていました。前年の1994年の中間選挙で「アメリカとの契約」という公約を掲げた共和党が大勝したのです。この「アメリカとの契約」では小さな政府の実現と徹底的に歳出を減らすことによって財政を立て直すことがうたわれており、議会=共和党の作成した予算案もその影響を色濃く反映したものでした。その大幅な削減は、福祉や医療関連の支出にも及んだため、本当に必要な人への給付や国民生活に大きな支障が出ると判断したクリントン大統領は拒否権を発動して予算を承認しませんでした。そしてこれ以降、大統領と議会の間の対立は深まり、ついには新しい年度までに予算が執行できないという事態にまで至りました。
アメリカの場合、予算が不足した際には一部を除いて政府機関は業務を停止しなければならない、と法律で定められているので、予算が執行できないと行政サービスはストップしてしまいます。予算がない⇒給料が支払えない⇒人を働かせてはいけない⇒職員は自宅待機させ、役所の窓口は閉める、という論理です。
1995―1996年は、国立衛生研究所の医療センターで新規患者の診療が拒否される/有毒性廃棄物の清掃作業が中止される/パスポートやビザの申請を受けない/政府委託業者の従業員が解雇される、といったことが起こりましたが、期間も長期間であったため、国民の生活のみならず、アメリカの経済にも大きな爪あとを残す結果となりました。
現在のアメリカでも同じことが起きつつあります。今回は上院が民主党、下院が共和党、とそれぞれ多数を占める党が違っている「ねじれ」が起きているので、大統領に送る予算案を一本化することができないでいるのです。オバマ大統領も最悪の事態を避けられるよう呼びかけてはいますが、道は険しいようです。
日本も対岸の火事ではありません。1日未明に衆議院で予算案が通過したので、予算そのものは3月末までに成立しますが、ねじれ国会の中、関連法案が参議院で否決をされては、その予算を執行することができません。日本はガバメント・シャットダウンを経験したことがなく、また、法律もそういった事態を想定して作られていないため、一概にどのようなことが起こるとは言えませんが、国民生活に影響が出ないよう与野党一致して知恵を出しあわなくてはなりません。(了)
スタッフ日記「伝える力」
政治活動の中で有権者の皆さんに最も身近なものは、様々に発信される広報だと思います。「直接演説は聞いたことがないけれど、街角のポスターを見たことがあるわ」「駅でビラをもらって読んだことがある」とか。選挙カーや各政党が発信するテレビコマーシャル等々。
政治活動における広報の役割は実はとても重要です。奈良市内にこれまで貼られてきたまぶちポスターの種類をどれくらい覚えていますか?
実はこれまでに11種類以上のポスターが作られています。その中でも平城旧跡前の道をまっすぐ前を見据えて歩くポスターは、世界1政治家の姿が小さい「豆粒ポスター」と呼ばれ評価の高い1枚です。ポスターはそれぞれがこだわりの作品で、強い思いやメッセージが、皆さんの心にどうやったら届くだろうかと、代議士が時間をかけて作り上げてきました。
そして、代議士はこの1月から党広報委員長として、民主党の広報全般の責任者となりました。その最初の仕事が統一地方選挙に向けた政党ポスターの製作です。ご存知の通り、現在の民主党は何をやっても攻撃と叱咤をされるばかりの状態です。そんな中でも応援し続けてくれる支持者の皆様の思い、全国で頑張っている議員、党員、サポーターの皆様の思い。民主党が目指す政治を、どう表現したら皆様の心に伝えることができるのか。委員長になってからは連日連夜が会議、会議の日々でした。
そしてもうまもなく、新しい民主党のポスターが町にお目見えします。代議士が込めた思いとメッセージが皆さんにはどう伝わるでしょうか。(チョロ)