消えた議員立法の項目

2008年1月31日 (木) ─

 昨日、いわゆる「つなぎ法案」は議長斡旋による与野党合意で取り下げられた。

 憲政史上に汚点を残すことになった「つなぎ法案」が取り下げられたこと自体は喜ばしいことだが、そこで交わされた合意については様々な思惑が交錯していた。

 最終的に交わされた合意文書は、

1.総予算を及び歳入法案の審査に当たっては、公聴会や参考人質疑を含む徹底した審議を行ったうえで、年度内に一定の結論を得るものとする。
2.国会審議を通し、税法について各党間で合意が得られたものについては、立法府において修正する。
3.1、2について、両院議長の下で与野党間で明確な同意が得られた場合は、いわゆるセイフティネット(ブリッジ)法案は取り下げる。

となっている。

 しかし、手元にある当初案(第何版にあたるのかは不明)には、「野党かねてからの主張である国税と地方税の道路財源に関わる事項を、議員立法による別法案とする。」が第1項目に入っている。また、最終合意の1にある「年度内に一定の結論を得るものとする」は当初案では「平成20年度予算と政府提出の税法およびこの議員立法は、十分な審議を行い、同時に立法府で議了する。」となっている。

 大きく違うのは、この二点。

 当初案にあった暫定税率部分の分離による議員立法での審議、というところが完全に落ちた。そして、議了(採決まで)という部分が一定の結論という言葉に置き換えられた。

 このことの意味はよく考えるべきである。

 与党は、3月末までの議了というのは生命線。これをあえて文言上は「玉虫色」に見える「年度内に一定の結論」にまで譲歩したのは、当初案の1項を落とすための条件だったのだろうか。とにかく混乱を収束させて暫定税率を残したい与党が、「実を取る」形で審議の中で骨抜きにするためには1項はなんとしても落とさずにはいられなかったのか。

 一方野党も、与党の「つなぎ法案」の愚挙によって一気に解散まで持ち込めるかどうかは世論の反応も含めて確信が持てなかった。そのため、玉虫色の一定の結論を勝ち取ることに意味があったのか。

 答えのない方程式のようではあるが、きっと時間が経てばすべてがすっきりとわかることになっているだろう。

 僕としては、いずれにしても「維持」と「撤廃」の間の議論も頭の中ではしておかねばならないと思っている。

 さまざまな、アイデアをひねり出さねばならない。

消えた議員立法の項目