母の言葉

2014年1月1日 (水) ─

 新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 元旦の朝は、大晦日からあちこちを回りながら徹夜で迎える。かれこれ15年間このような生活を送っているが、体力勝負故に歳と共に疲労感は否めない。お神酒をいただきながらでフラフラになって元旦の朝となった。

 昨年の総選挙明け、ましてや政権転落後の新年とは違い、心なしか少し落ち着いた年明けを感じた。行く先々で出会う皆さんからの励ましはいつも以上にあたたかかった。

 溜まっていた何本かの原稿を書きつつ、午後には母の入院する病院へ見舞いに。

 アルツハイマーを発症したのはかれこれ20年前くらいになるだろうか。まだら状態の記憶から完全に意思が示せなくなるまでは相当の時間があったが、要介護5となり自らの意思で動くこともままならず、食事も経口摂取が困難になりつつある状況ではもはや病院から帰るのは難しいかもしれない。

 秋に入院となってから僕が訪ねても、ほとんどいつも寝ている状態で意識ある時をこの2カ月ほど見ることができなかった。社会人として在京となった長女や東京で通学する三女や長男など孫たちも帰ってきて見舞った今日は、久しぶりに目を覚ましている姿を見ることができた。

 そんな中、病室で皆で「おばあちゃん!明けましておめでとう!」と呼びかけると、母は何か答えた。

 それは、「何か」だったけれども、僕には「おめでとう...」と聞こえた。ほとんど言葉にならない声だったが、喜んでいるように聞こえた。

 久しぶりに聞いた母の言葉。

 意識の片隅に家族の声が届いたのかもしれない。

 少しずつ老い、やがて人生を全うする時を迎えることは人生の摂理である。抗うこともなく受け止めていきたいと思うが、自らの時間がままならない仕事上、会うたびの姿を焼き付けておこうと思う。

 静かな、そして穏やかな新年を迎えることができたことに心から感謝しながら。

母の言葉