政策進捗報告会
9月の代表選後、1年半ぶりに政調会長代理として執行部に戻った。昨年3月、震災発災による原発事故対応のために総理補佐官に就くことになり辞した広報委員長以来の党務。
細野政調会長の下、次期マニフェスト作成の責任者となった。マニフェストのマの字を発しただけで、締め出されそうな勢いの厳しい情勢の中で、どう作るか...。
思い浮かんだのは一年半前の広報委員長時代にやろうとした信頼回復プログラムの実行だった。
政権交代以来、マニフェストに掲げた政策の実行に苦慮しながらも懸命に取り組んできた民主党政権。リーマンショックによる税収減のみならず、財源の見積もりの甘さもあった。それでも各省の政務三役は、必死に実行のための努力をしてきたし、政策の実現、あるいは旧来からの大きな政策転換が図られたことも多数だ。
しかし、政権交代への世の中の期待値は高く、その期待に十分応えられていないだけでなく、党内マネジメントの不十分さにより、政権の信頼を大きく損ねる結果となってしまった。まずは、徹底したこうした政権の総括が必要である。
マニフェストに限って言えば、できたことを訴える前に、「できたこと」、「できなかったこと」、「できなかった理由」を明らかにしつつ、「どうすればできたのか」の真摯な検証と反省、お詫びが必要である。こうした姿勢と行動により、初めて「聞く耳」を持っていただけるのではないか。広報委員長時代に、このことがまずありきだ、と考えてきた。
そして、こうした信頼回復のプロセスを国民の前に明らかにすることによって、初めて新しいマニフェストづくりに踏み出せる。この想いで、プロセス設計を行ってきた。
明日から、野田総理を先頭に、9名のスポークスパーソンが広く有権者の皆さんの厳しいご意見に耳を傾け、お叱りや疑問に真摯にお答えする場が、始まる。全国11都市で行う「政策進捗報告会」。
明日は、福岡と大阪で、野田総理と細野政調会長がそれぞれ出席する。自分自身も、明後日の札幌会場から3都市を巡る。真摯に耳を傾ける。遅きに失しているとの厳しいご意見もあると思うが、そこからスタートしなければ、もはや再生はない。
一方、09年マニフェストの検証と未実現項目の取り扱いの詰めの作業も急ピッチで進める。遅くとも来週の末までには、骨格くらいは仕上げたい。
マニフェストの言葉そのものに嫌悪感を持たれるかもしれないとの指摘もあるが、間違いなく「検証可能な政権公約」を掲げることにより、国民の前に政策の成果を明らかにすることが可能になった。透明性・公開性・一覧性を確保した政策の提示は大きな変化だった。
確かに、われわれは英国、ブレア政権の初期のマニフェストにとらわれ、「工程管理・政策評価型マニフェスト」にこだわりすぎたきらいはあったかもしれないが、現在の趨勢は「理念・哲学型マニフェスト」だ。
進化し、深化する、マニフェストづくりに取り組む。