山口で、難病を想う

2013年4月21日 (日) ─

 幹事長代理として参院選挙対策本部事務総長代理という役割を担っている。これは選挙本番に向けての候補者擁立済み選挙区への具体の対策実施を行う部隊。従って地方行脚は、参院山口補欠選挙と絡めて参院本線に向けての対策行脚が続く。

 この週末は長崎から福岡そして、選挙中の山口には二日間。昨年来の厳しい状況は把握しながらも、それでも多くの方々からの声援を受けて、ここで踏ん張らなければとの思いを強くする。

 山口はこの補欠選挙で二回目だが、今回は下関。

 安倍総理のおひざ元。できるだけ多くの方との語らいを大事にする。

 そんな中で、僕が特別顧問を務めるNPO法人山口県難治性血管奇形相互支援会の方々と久しぶりの面談ができた。

 難治性血管奇形とは、血管の異常増殖など形成異常が生じるもので、原因は不明。全身のどの部位にも発症し、腫れ、痛み・変形・感染・出血など様々な症状が出現し、治療法が確立されていない難病だ。おまけに診断を誤られて外科的治療などを施されるとその刺激によって極端に悪化することもある。

 患者数は全国で確認されているのは100名程度、山口県ではわずか6名だが、おそらく他の病気に診断されているだろうことを考えると、推定で全国で数千人程度になるのではないかと考えられている。

 この病気の大変なところは、いわゆる血管腫と診断されて血管腫の治療をあてはめられやすいところである。その場合は幼い子どもは特に成長に伴って緩解する診断されて、経過観察を余儀なくされる可能性が高い。しかし、血管腫とは違う病気故、経過観察は悪化を招く一方になりかねない。

 また更に、病気の特定の中で混合型血管奇形と診断されることでより狭義の病気と診断されてしまうと、救済される方々が極端に少なくなってしまう恐れがある。更に、現在、医療費助成の対象とはなっていないため、治療費に月数十万円を余儀なくされる患者さんもいる。

 山口県職員であるNPOの有富健理事長は、約10年前に発症し、2010年にようやく診断がついた。県内に専門医がいないため、岡山市の病院に通院し、これまで交通費も含め700万円以上を自己負担している。

 また、ある患者さんは毛細血管の異常増殖故に手指の壊死を招き切断を余儀なくされた。切断により欠損した指と血管増殖の跡のしこりを触らせてもらいながら、その辛く苦しい歳月を想うと胸が張り裂けそうになる。

 小さなお子さんや、思春期を迎える女の子の病状を聞くと、何とかしてあげたいというご両親の気持ちが痛いほどわかる。あらためて患者さんたちと向き合いながらそして話を伺いながら、政治の役割は、小さくとも切実な声に耳を傾け、そこに光を当て現実に即した解決策を模索し実行することであると感じる。

 そもそも難病は患者の数が少なく、また症例が多岐に渡るため、製薬会社等が莫大な研究費をかけて薬剤や治療法を研究開発することが難しい状況だ。そのため、医療費を助成することにより、できるだけ多くの難病患者の方に受診をして頂き、調査研究を進めるというのが現在の仕組みである。

 しかし、難病患者への医療費助成は法的制度ではないため、高齢化等に伴い難病患者が増え続ける一方で、予算額の十分な確保が難しく、平成24年度には自治体に289億円の超過負担を強いている状況でもある。

 また、このような状況の下、医療費助成の対象疾患は、56疾患に限定されており、数百疾患以上ある難病の中での公平な助成のあり方が課題となっている。さらに、医療費助成だけでなく、拠点病院や専門医等の医療体制の整備、福祉サービス、就労支援等の総合的な対策も必要である。

 これらを踏まえ、民主党政権では昨年2月に閣議決定した「社会保障・税一体改革大綱」では、難病対策について、「医療費助成について、法制化も視野に入れ、助成対象の希少・難治性疾患の範囲の拡大」、「治療研究、医療体制、福祉サービス、就労支援等の総合的施策の実施」を目指すとした。これを受け、厚労省では難病対策委員会で議論を進め、今年1月に改革提言をまとめている。

 提言では、(1)治療方法の開発と医療の質の向上、(2)医療費の助成対象を現在の56疾患から拡大するとともに、患者負担のあり方を見直す、(3)日常生活や就労支援、難病を持つ子どもへの支援等が盛り込まれた。今後、法制化作業を進め、秋の臨時国会ないしは来年の通常国会に法案提出される見込みでもある。

 このように、民主党政権で改革の道筋をつけた難病対策の見直しだが、詳細部分については、法制化を踏まえ今後の作業となる。

 助成対象に指定されない疾患への福祉サービス・就労支援等の多様な支援網のあり方も含め、総合的な難病対策確立に向けて、現場の声を大切にし、残された課題について着実に取り組んでいきたいと思うし、こうした声におそらくは寄り添って理解していただけるであろう、地元選出の安倍総理にもぜひ、受け止めていただきたいと切に願う。

 僕は高邑勉前衆議院議員との縁で、昨年特別顧問になったのだが、安倍総理はこのNPOの名誉特別顧問なんだから。

 彼らの話を直接聞いている国会議員が僕以外にいないというのは、どうよ?と正直思う。

山口で、難病を想う
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