寸止め代表質問

2008年5月10日 (土) ─

 久しぶりの代表質問。「国家公務員制度改革基本法」について。

 今国会最後の重要広範議案(通常国会で4本定められる、総理出席の下で行われる重要法案の意)のひとつ。一昨年の「行政改革推進法案」の対案、昨年の「天下り根絶法案」と二年連続で民主党の行革法案作りの中核を担ってきた自負がある。ずっと、民主党案の答弁者として、また政府案への質疑者として委員会でもガンガンやってきた。

 そして、今年の「基本法」審議。民主党案作りにも当然深くかかわりながら、前政調会長の松本剛明行革調査会長から「心積もりをしておいてくれ」と言われて準備をした本会議での代表質問。

 このところ、予算案への質問や討論、民主党案提出者としての答弁などでの登壇が続いたが、法案での代表質問は耐震偽装事件に端を発した建築基準法改正以来、二年ぶりとなる。おのずと気合が入る。

 しかし、実は、なかなかに難しい代表質問となった。

 この公務員制度の改革は、与党の中でも相当に抵抗が大きい。報道でも、官房長官や自民党幹事長を筆頭に与党内の多くの族議員たちが法案成立阻止を狙っていると言われるが、事実内閣委員会周辺では与党議員が公然と「急がなくていいよ!」と声を上げている。

 つまり、官僚支配を覆すための公務員制度改革を一番阻んでいるのは与党の中にいる。その中で、渡辺喜美公務員制度改革担当大臣の孤軍奮闘は気の毒な気さえするものがある。改革の方向性は政府案に一定の評価をしながら、民主党の考えを取り入れさせて修正を図るというのもひとつの選択肢だ。ある意味現実的なものだとも言える。

 もちろん、本法案の取り扱いは国対ならびに執行部で決定するので、政調役員として民主党案を作る役割の僕が口をさしはさむべきでないことは理解している。しかし、委員会審議に臨む立場としては、まっこうから政府案を叩き潰しにいくのか、あるいはそうではないのかは雲泥の差がある。

 自分の中での方向性が定まらないとおのずと、代表質問の矛先も鈍る。これではイカン、と考えを改めて代表質問作り。与野党を超えて公務員制度を考えようというメッセージにすべき。

 代表質問では、その観点からスナイパーというあまりありがたくはない呼称とは程遠い、切れ味鋭い質問、とはちがう「真の公(おおやけ)とは何か」という理念を前面に打ち出したものにした。壇上でのトーンも抑えたつもり。

 議場の皆も、あれれ?、どうしたの?という雰囲気があったかもしれない。いつもの、ガンガンに与党を攻め上げる質問じゃないからね。与党案をつぶすのは簡単だけど、この局面はいろいろと考えてやったほうがいいよというメッセージを込めたつもりだけど、伝わったかなぁ...。

 ということで、いわゆる「寸止め」で代表質問を終えた。「ニューまぶちか!?」と席に戻ると回りから言われたが、いやぁ、と頭を掻いた。

 この文章も、マスコミ各社の政治部の密かなネタモトになりつつあって、おおっぴらに書けないことも多い。

 寸止めにしとかなきゃいけない理由は、他にもいろいろあるけどだんまりで通す。鋭い記者さんたちが、何人か来たが、「言わないよ」で通した。ま、これも最後まで誰にも言わないで済ます内容だな。「墓場まで持っていく」と書くと、かつて大騒ぎになったんでやめとく。

 だから、「実家まで持って帰る」。

 でも、こう書くと実際、実家(地元)まで聞きに来られたら答えざるをないかぁ...。

寸止め代表質問