厳戒の古都

2008年5月10日 (土) ─

 週末の地元活動を順調にこなそうとしていると、道路封鎖による渋滞というか路上駐車状態。

 中国の胡錦濤国家主席の奈良訪問によって、厳戒態勢となっていた。いまだかつて見たことのない警備状況に、さすがに驚く。たぶん、奈良でこれほどの警察官が動員されたことはかつてないだろう。警察官移送車のバスは、広島や石川などの他府県ナンバーだ。近隣の応援も受けてのことだろう。国家の威信をかけての警備体制は理解するが、あまりの物々しさに市民感情を害しかねないなぁと感じる。

 パンダでごまかされるな!、と今日も朝から行く先々で日中外交に対して厳しいご指摘もいただく。国民の視点は思った以上に冷静だ。

 日中関係を重視するのと、国際的な立場で日本が中国に何を伝えるかは別もの。少なくとも、今回の胡主席と福田総理との首脳会談に、市井では成果を見出していない現状がある。

 国民の視点を外交のすべてにせよなどと言う気は毛頭ない。国益を考えたときにとるべき視座は様々にあるだろう。しかし、客観的かつ冷静に国民が見ていることをわれわれはもっと知らねばならない。

 長野で起きた混乱は一部のものによってもたらされただけではなく、国民の持つ「不安感」と「不信感」の一時的な表れではないかと、雨に煙る古都の異様な風景を見て、改めて感じた。

厳戒の古都