予算シリーズ終了...

2008年2月29日 (金) ─

 おそらく、この総予算審議の最後の質問となるだろう質疑の機会が回ってきた。「道路特定財源について」の二度目の集中審議。

 これで、4回目。安保の集中質疑もあったので、5回の登板。

 最後だろうと、3回の質疑の総まとめとして35分と若干短い時間ではあるが論理の組み立てに、ない知恵を絞る。国会スタッフと、この予算委員会中もう何回目か忘れてしまった徹夜作業で質疑を組み立てた。

 準備は十分。詰め将棋の質疑だけではなく個人的な見解も含めて総理への政策提言も最後に盛り込んで...と勇躍質疑に臨んだ。

 しかし、予算の現場は荒れまくっていた。冬柴答弁が、またもやブレ出したからだ。岡田理事からの質問で、積み重ねてきた答弁がひっくり返った。岡田さんが、政府見解を求める。

 1ヶ月近く重ねてきた議論をひっくり返すような答弁は、もはや国交省の断末魔の叫びにさえ聞こえる。政府見解はどうも後で出てきそうなので、順番の中で僕か川内さんのどちらかで対応するように言われる。

 順番が回ってくるが、政府見解はまだのようだ。ならば、準備した質問をやろう、冬柴答弁のブレは冒頭にチラッと触れておくだけにしよう、と軽くジャブ。

 するとすかさず自民党森英介理事から「政府見解、出すから今あんまりやらないで!」と質疑席の横まで駆け寄られてささやかれる。

 わかった、わかりましたハイと自分のテーマに戻る。せっかく準備したんだし。

 中期計画の前提崩壊の二点を改めて指摘しながら、道路公団を民営化した後の債務償還のリスクを指摘する。この道路公団民営化後、実は大変なリスクが潜んでいることを国民に知らさねばならない。中期計画の59兆円に上るこれから執行しようとする予算の話も当然大事だが、60兆に上る高速道路債務が国民の税金を投入させられる危険性のほうが、はるかに現実の心配事だ。しかも、このことは国民にわかりにくくされてしまっている。十数年後に突然債務が顕在化する仕組みになっている。ぜひ、この予算委員会で世間に示さねばならない。

 と、そこへ前原理事から「今、政府見解出るからやって!」と声がかかる。エッ、出るの!?、ってぇことは僕がやるの?...ハイ、わかりました、やるのね。

 なんだか変な質問になってしまうが、途中で話を打ち切り「横に置いといて...」と政府見解に話を振る。

 また、いい加減な政府見解を官僚が出してきたのをそのまま冬柴大臣は読み上げる。いいのかよ、それで!?

 こりゃ、もう審議進められないな!と止める。審議中断。やっと、止まったか。しかし、ちょっと時期的に遅いけど。もう、採決前提だよ、与党は。

 結局、1時間以上の中断。そういえば、去年も締めくくり総括質疑で審議できないと座り込んでいた。その前の年も、締め総で最後の質疑をした。ここ三年間、ずっとこういう役回りだ。

 座り込んでいると、後方与党席の斉藤斗志二委員から「まぶち君、君は強すぎるんだよ!、強すぎるから、耐震偽装でも官僚が縮こまって検査厳しくしたから建設業界は不況だよ!これは、まぶち不況だよ!」と訳のわからん野次が飛んできた。何言ってんだ!、国交省の責任放棄なんだよ、その話は!アッタマ来るなぁ。

 結局、混乱の中、岡田理事から「仕切りなおして!」と指示が来て、政府見解の出しなおしと更なる審議を求めて終わる。

 35分の質疑が、結局1時間30分。アー、疲れた。

 徹夜で準備した質疑は未完で終わった。仕方がないが、想いは募る。

 問題の指摘だけでない、提案型の質疑こそ価値ある議論だと思っている。

 僕なりの政策提言とは、民主党の考え方そのものではないが個人的に総理にぶつけたいと思っていた。いや、むしろ「年度内に一定の結論」という前提の中でオープンな議論でない決着などがあってはならない。その意味で、一石投じておく必要があると、ヒラ議員の立場ではあるが勝手に思ってきた。

 質疑のラストには、この予算委員会で議論を重ねてきた「道路」問題を単なる公共事業の話にしてはならないと言いたかった。

 田中角榮元総理が若き日に、それこそこの国のかたちを社会資本整備に託すということで「道路特定財源」を造ってこられた。彼の当時の議事録に残る言葉には、この国に暮らすすべての人々に、つましいながらも生活実感のある「豊かさ」を与えていきたいという理念が、瑞々しいまでに満ち溢れている。

 道路を通して、土建を通じて、この国のかたちを作ってきた田中角榮元総理へのレクイエムとしての、メッセージを込めて新しい国のかたちを示す政策提言をしたかった。総理にぶつけたかった。質疑を通して、国民の皆さんに示したかった。残念でならない。

 「ピーーーィッ!」

 僕の中で、長い長い予算シリーズの終了のホイッスルが鳴った。

予算シリーズ終了...