ベストミックスを崩すな

2015年4月16日 (木) ─

 統一地方選前半戦が終わって息つく間もなく、国会における「エネルギーベストミックス議論」の場に戻る。

 安保法制関連法案についても党の安全保障総合調査会での議論が佳境に入ってきているが、原発政策含めて今後のエネルギー政策の行く末を決める大事な議論であり原発事故以来この4年間取り組んできた立場として、なんとしてでも政府の恣意的かつ無定見に突き進む原発回帰にくさびを打ち込まなければならない。

 自民党の原子力政策・需給問題等調査会が4月7日にまとめたエネルギーミックスに関する提言では、これからさらに漸減していく欧州のベースロード電源比率を引き合いに6割という目標を掲げ、与党提案として政府に示している。

 また、経産省の長期エネルギー需給見通し小委員会でも、ベースロード電源が電源構成の6割程度を占めることが望ましいと事務局が誘導し、それをまた御用学者の委員が追認していくという、数年前のデジャブのような審議会運営がなされていく。

 自民党と政府が想定しているベースロード電源とは、地熱、一般水力、原子力、石炭火力の4つの発電形態であり、現時点でこの4つで全発電量の約4割を占めている。提言のとおりにベースロード電源比率を約6割に持っていくためには、2割の上積みが必要だ。石炭はCO2排出が問題になるし、水力、地熱は、大規模な設備建設には時間と費用がかかる。

 自ずと議論は、原子力を2割以上の水準にするという結果に帰結する。

 しかし、2014年度は原発は0%だ。地熱、水力、石炭で4割。つまり、停止している多くの原発を再稼動させざるを得ず、40年運転制限ルールの運転延長も前提としていることになる。安倍政権下でも「エネルギー基本計画」に記してきた「原発依存度については、可能な限り低減させる。」は、単なるお題目になりつつある。

 だからこそ、ここは正念場。現実的かつ理想を求めての「ベストミックス」にしていかなければならない。政府に、やすやすと「ベスト」を崩させるわけにはいかない。

 どう打ち込むか、勝負どころだ。

ベストミックスを崩すな