維新分裂と野党結集
8月29日、維新の党を離党した橋下大阪市長は、自らが代表を務める地域政党「大阪維新の会」を母体に新党を設立する意向を表明した。維新の党の国会議員51名のうち、おおよそ20名前後が「橋下新党」に参加するとも報じられている。
◆分裂の背景は
新党は10月中に発足の見込みだが、今回の構想が、11月22日投開票の大阪府知事・市長ダブル選を見据えたものであることは間違いない。
この選挙で橋下氏らは、大阪維新の会として独自候補を立て、5月の住民投票で否決された「大阪都構想」を公約として掲げることを決めているが、そこで展開される構図と結果は、今後の政界の勢力分布を決める大きな分岐点となることが予想される。
ただ、今回の動きは、これまでの「橋下劇場」とは大きく性格が異なる。
「大阪系VS非大阪系」の主導権争いの状況を踏まえ、維新の会の中で最も求心力の高い橋下氏が政界引退を表明している12月よりも前に「独立」に踏み切るのが得策という判断のもと、松井一郎大阪府知事(大阪維新の会幹事長)が主導したものであるというのが私の見立てだ。
◆混迷する野党政局
いずれにしても、「橋下新党」構想が引き金となり、野党政局は一気に混沌としてきた。
維新の党に残留すると見られている松野頼久代表、江田憲司前代表らは、以前から「民主、維新などの主要野党が解党し、新たな巨大野党を結成する」という筋書きを描いているが、今後、この構想の実現に向けた動きを加速させると見られている。
私は、民主党として「各党が解党→新党結成」という可能性を完全に排除するべきではないと考える。ただし、仮にそうなったとしても、今ある民主党が割れてはならない。目指すべきは、野党の「再編」ではなく「結集」であり、バラバラな野党を再編して、別のバラバラな形を作っても意味は全くない。
また、「政治は数」であることが否定できない以上、純化路線というのも危うい。必要なのは、自民党に対峙できる政治勢力を作るという大きな目標を達成することだ。
◆野党の「結集」に向けて
今後は、民主党に亀裂が入ることのないよう徹底した根回しを図りながら、各党の事情も勘案しつつ、志を同じくする仲間の結集を目指すという、非常に難しい連立方程式を解いていく作業が必要となる。 また、分裂騒動の混乱による国会審議の停滞は避けなくてはならない。
現在、参議院では安全保障特別委員会の審議が与党が目安とする100時間を大幅に下回っており、今後さらなる審議時間の確保が求められる。衆議院においても、8月に提出された概算要求に対する予算委員会を早期に開催する必要がある。
一方、内閣不信任決議案提出の準備も始まっている。
会期末が近づく中、国会は政局・政策両面で重要な局面を迎えている。その中でも野党をまとめ、与党に対峙する勢力を作るべく、全力を尽くす。