第812号 皇位継承 今後の課題
1日、今上天皇の退位に関する皇室会議が開催され、退位日が再来年の4月30日、新天皇の即位日が5月1日となることが決まりました。
◆皇室会議と退位
皇室会議は、三権の長や皇族二方などで構成され、皇位継承順位の変更や皇族の婚姻、皇籍離脱などを審議する重要な役割を担っています。退位については明治以降初めての例ということもあり、法律上、開催に関する規定はありませんでした。
退位法の制定にあたっては、衆参両正副議長の下で与野党が協議する形で議論が進められましたが、民進党が皇室会議の関与を強く求め、私も交渉の先頭に立ち、皇室会議の意見を聞くという形で法律に取り入れられた経緯があります。
皇室会議の関与を求めた理由は、憲法1条が、天皇の地位は、「国民の総意に基く」と規定する以上、退位は単に時の内閣の方針だけではなく、三権の長である衆参両立法府議長や最高裁判所長官などの意見を反映することが必要で、さらに、皇室問題の当事者である皇族方をも含めた審議が要請されると考えたからです。この点で、今回、退位に関する皇室会議が開催された意義は大きいと考えます。
しかし、今回、事前に退位日についての内閣の方針が報道され、それがあたかも既定事実であるかのように誘導がなされることで、皇室会議が形式的なものになってしまったのではないか、という疑問もあります。天皇退位については、今回の退位法が今後の先例となることを国会質疑において確認しています。
また、皇位継承のあり方についての議論も速やかに進められる予定です。皇位継承について、今後も皇室会議を開催して実質的な審議を行い、その反映がなされるような制度整備が必要と考えます。
◆早急に皇位の安定的継承の議論を
今上天皇の退位日は決定しましたが、今後の皇位継承のあり方についての議論はこれからです。再来年に皇太子が即位されれば、皇位継承資格者は3人だけとなります。また、慶事ながら女性皇族のご成婚による皇族減少の問題もあります。皇室の永続に向けた議論は一刻も早く進めなければなりません。
退位法成立に際しての付帯決議では、政府は安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等において速やかに検討を行うことが示されました。
また、私が質問に立った国会質疑においても、政府は退位後の具体的な検討に向けて適切な対応を取ることを明言しています。それにもかかわらず、現時点で具体的な対応が進められているようには見えません。政府には速やかな対応が求められます。
◆伝統、憲法と皇室のあり方
私はこの国の「はじまりの地」である奈良の人間として、我が国の伝統としての皇室のあり方について考え、退位の問題に取り組んできました。
また、今、憲法改正の論議が本格化しようとしていますが、憲法は1章で天皇について規定しており、皇室のあり方を考えることは、憲法のあり方とこの国の形を考えることでもあります。一人の政治家として、我が国の伝統と憲法、そして皇室のあり方について、今後も考え、取り組んで参ります。(了)
森ちゃん日記「冬の風物詩」
来週、9・10日にいよいよ開幕となる奈良マラソンは、今年で8回目を迎え、今や奈良の冬の風物詩となっています。
今年も国内外から参加する17500人のランナーが、奈良市のならでんフィールド(鴻ノ池陸上競技場)をスタートし、冬を目の前にした奈良公園の最期の紅葉を背景に、一斉に走り抜けます。
特に奈良から天理までを走り抜けるフルマラソンは、今年も多くの応募者が集まり、20:00開始のインターネットでのエントリーは10分程で先行枠の2000名が埋まり、定員9000名の一般枠でも、一時間も待たずに定員締め切りとなったそうで、ネットでの申込みから白熱した激戦となっています。一般抽選での1000名の倍率も高く、参加するだけでも至難の業です。
当日の沿道には、たくさんの人が応援に駆けつけ、休憩所の提供や誘導を行う4000名のボランティアの方が集まり、コース途中各所でのブラスバンドや和太鼓の演奏は、ランナーだけではなく、応援する私達観客をも楽しませてくれます。聞いた話では、天理付近の休憩所では三輪そうめんや柿の葉寿司のふるまいもあるそうで、まさに奈良県民総出のイベントとして確立されつつあります。ランナーの中には、どう見ても走りにくそうな目立つ仮装で走る選手も多く、一層ギャラリーを盛り上げるのと同時に、今年一年の流行りを知るきっかけとして私のちょっとした楽しみの一つででもあります。
全国的に頭打ちとされていたランニング人口は2010年の883万人から微減の傾向にありましたが、東京オリンピック・パラリンピックへ向け、また息を吹き返しした形で健康スポーツブームの再来とされています。サッカー、ラグビー、駅伝と続く年末年始は、テレビの前でゆっくり過ごそうかなと思いながら、来年こそは観戦側から参加する側へと、それでもなかなか覚悟を持てずにいつも通りに過ごしています。