第797号 規制改革と加計問題
24、25日に安倍総理出席の閉会中審査が行われます。今回は加計学園問題から、規制改革について考えます。
◆問題の本質は何か
本来、「規制改革」の問題と「身内優遇で行政を歪めた」という問題は区別されなければならないものです。
しかし、10日の閉会中審査では、前川・前文部科学事務次官と国家戦略特区ワーキンググループの委員が参考人として招致された一方、総理に代わり文科省に働きかけたとされる和泉首相補佐官や加計理事長など、野党が求めた「キーマン」とされる人物の招致は与党により拒否されました。
ここには、「規制する側」=文科省のトップだった前川氏と「改革する側」=特区ワーキング委員を並べて議論させ、問題を「身内優遇によって行政が歪められたのか」ということから、「規制改革の難しさ」へとすり替えようという官邸の狙いがあるように思われます。
◆規制改革の難しさ
規制は、自由な事業活動への制限となる一方で、安全やサービスの質の維持など国民の利益を守る役割を持っています。
もちろん、時代に合わないものは改革しなければなりませんが、「善か悪か」で単純に割り切れるものではなく、ここに規制改革の難しさがあります。 同様に、今回も実状を踏まえた議論が必要です。
現在、獣医師の「総数」は供給過剰とされていますが、獣医学部の卒業生の4割が大都市のペット病院などに就職する一方、地方で家畜の伝染病対策などを担う公務員獣医の不足は深刻と言われています。
つまり、単純に足りている/いないという荒い論点ではなく、人材育成の仕組みや地域との連携を含め、全体を見渡した論点で丁寧に考えなくてはならないのです。
◆特区制度にも改善の余地
国家戦略特区は、規制の緩和を一部において認める制度で、アベノミクスの第3の矢である「規制改革」政策の目玉として導入されました。
今回、この制度のプロセスの中で「身内優遇」が行われたことは見過ごせません。
規制改革を進めようとするとき、業界団体や族議員など、様々な利害関係者による「岩盤」にぶち当たることがしばしばあります。
この政官業のトライアングルに守られた強固な岩盤は、政治的な力がなければ突破が困難なものですが、政治力を利用しようとすると、身内の利益だけを図る勢力が介在しやすくなることも確かです。
こうした流れの中で、本来国民のために行われるべき規制改革が、「一部の者のための規制改革」になってしまっては本末転倒です。
現在の規制改革の問題点は「プロセスの不透明性」にあります。したがって、規制を守る側、改革する側、お互いの言い分を国民の目に届く形で示し、議論を進めるよう制度を変える必要があります。
民進党は、通常国会に、「特区見直し法案」を提出しましたが、その中には「産業の国際競争力の強化(略)の観点から抜本的な見直しを行い」との文言が盛り込まれています。
経済成長の観点からも、規制改革は進めなければなりません。私たちは「プロセスの透明化」を図りつつ、さらに改革を強力に進めるための制度を作るため、力を尽くします。(了)
スタッフ日記「NHK密着取材」
議員秘書の実態について密着したいと、国会事務所がNHKに取材されました!
早朝5時半、取材スタッフの方たちが議員宿舎に集合。事務所車のフロントガラスと左ドアガラスにビデオカメラを設置し始めました。
このカメラ2台が今日は一日中ずっと運転席を向いて撮影しているのか、緊張するなぁ、さてどうしたものか…代議士が取材を受けることはあっても、私達が受けることは滅多にありません。自然に過ごしてくださいと言われても緊張してしまいます。
運転中の車内、事務所での昼食、デスクワークやレクの様子、党本部での幹部会議の写真撮影等、ずっとこちらを向いてカメラが密着しています。
党職員の方や記者の方からも、「ハムさんにカメラ向いてますよ、何したんすか? ! 」と突っ込みの嵐です。
スタッフそれぞれのインタビュー等も交えつつ、取材は朝から夜まで15時間に及びました。
実際の放映時間は10分弱だそうで、編集されどのように放映されるのか楽しみでもありますが、自分がどのように映っているのか心配で仕方ありません。
代議士は笑いながら「ハムの地元にもちゃんと伝えておけよ、全国デビューだぞ!」と。
放送は7月25日(火)17時半から18時頃、「ニュース シブ5時」内の「アダチのトツゲキ解説 議員秘書の世界(仮)」と聞いています(閉会中審査の中継が入った場合は、放送日を含め変更になる可能性があります)。
なかなかご覧頂くことがない国会事務所で働いている秘書の日常、これを機会に知って頂ければ幸いです!(ハム)