第772号 第193通常国会召集
20日、第193回通常国会が開会しました。会期は6月18日までの150日間です。
◆天皇「退位」の法制化
今回、国家のあり方に関わる問題として、焦点となるのは天皇退位の法制化です。
既に私たち民進党は、皇室典範を改正し、恒久法に則って進めるべきという論点整理を示していますが、与野党間の議論は、23日に政府有識者会議が論点整理を発表した後、本格化する見込みです。
問題の性質上、衆参両議長の下での「静謐(せいひつ)な」議論が求められますが、同時に、憲法第1条が天皇の地位を「日本国民の総意に基く」と規定している以上、国民を代表する機関である国会において、開かれた議論をすることが重要です。
◆懸念残る「テロ等準備罪」法案
また、従来「共謀罪」と言われてきた「テロ等準備罪」法案についても審議されます。
「共謀罪」は一定の犯罪について、犯罪を実行しなくても、相談に加わっただけで罰せられるようにする制度で、自民党政権が2003年以降、過去数度にわたり国会提出し、議論が行われてきました。
過去、民主党は、捜査当局の拡大解釈等によって無制約に処罰範囲が拡大されることを防ぐため、適用対象や適用犯罪を限定するよう提案してきましたが物別れに終わっています。
政府は、長年の懸案である国際組織犯罪条約を締結する上で必要だとして、今回「テロ等準備罪」の法案成立にこだわっています。
説明では、共謀罪とは違い、テロ対策に特化した罪で、テロなどの準備行為があって初めて罰するものであるとされていますが、政府原案を見る限り、行政機関の裁量しだいで、犯罪行為の線引きがあいまいになり、結果として個人の人権が制約される恐れが否めません。
法曹界などから現行法でも対応可能という指摘もされており、必要性も含めた慎重な審議が必要です。
◆働き方改革
さらに、政府は働き方改革として、長時間労働の規制と共に、同一労働同一賃金の推進を目指すとしています。
民進党は違法な時間外労働への罰則を強化し、長時間労働規制を徹底する労働基準法改正案を国会提出し、対案を示しています。
また、同一労働同一賃金に関しては、私たちが民主党時代から掲げてきた政策なので、その推進については大いに歓迎すべきことだと考えます。
しかし、その実現に向けた道筋や方法は、現実を見据え、慎重に議論していくことが必要です。
例えば、非正規雇用の比率が高い業界で、形式的に非正規雇用の給与を正規雇用の水準に引き上げただけでは、企業の経営に大きな影響を与えることにもなりかねません。
企業の賃上げ余力、労働者側の柔軟な働き方の需要、そして非正規であっても「匠」の技術を持つ日本型雇用・人材の特徴を踏まえ、せっかくの政策が看板倒れになってしまわないよう、実現可能な制度構築を検討し、提案していきたいと思います。
今国会では、国家のあり方から個人の人権、国民生活に直結する課題まで、重要な審議が予定されています。私たちは、国会論戦で一つひとつ練り上げられた政策の選択肢を提示して参ります。(了)
スタッフ日記「憲法の色」
フレッシュグリーン、鉄紺、紫紺、藤色、臙脂…、思いつくまま並べてみましたが、これを見てピンと来た方はよほどのツウかもしれません。
これらはすべて、お正月の風物詩、箱根駅伝のタスキの色です。前から、青山、東洋、明治、駒澤、早稲田、となりますが、山梨学院(プルシアンブルー)と神奈川大(プラウドブルー)など、画面上では同じように見える色でもアナウンサーはきちんと言い分けています。
各校の「タスキをつなぐ」という思いを汲んでのことだと思いますが、それにしても、プレミアムブラック(上武大)、ファイヤーレッド(帝京大)など、その語彙力と工夫には毎年感心させられます。
十二単に代表されるように、日本の文化は、たくさんの色にあふれています。
例えば、昭和初期に編纂された「配色総鑑」という本では、いわさきちひろの水彩画で出てきそうなうすい赤だけでも「鴇色・肉色・一斤染・桜鼠・梅鼠・珊瑚朱色・柿色」とこれだけの色があげられています。
「濃い・薄い」ではなく、固有の名前があるということは、日本人が色に対して敏感な感覚を持っていることのあらわれとも言えます。
そんなことを思いながらページをめくっていると、「憲法色」という色を見つけました。しかも英語訳では「sepia=セピア」です。
セピアといえば色あせているような印象です。憲法が色あせている、とは穏やかではありません。
早速調べてみると、吉岡憲法さんという剣術家に由来してその名がつけられたことがわかりました。
なーんだ。ホッ…。(シズ)