第695号 安保「まぶち見解」を発表
安保関連法案の採決を与党側は15日の衆議院の特別委員会で行いたいとしています。このままでは審議が不十分なまま、早ければ16日にも衆院本会議での採決が行われる可能性があります。そのような中、今週、安保政策に関する「まぶち見解」を発表しました(2015年7月5日_我が国の安全保障に関する見解~冷静な分析的検討に基づく「現実的」安保政策構築に向けて~)。
◆政府の安保法案の目的
政府提出の安保法案の本質は、日米同盟を維持・強化し、自衛隊が世界中でアメリカ軍の補完・支援部隊として活動できるようにするところにあります。だからこそ、具体例として、本来我が国の「存立危機」とは言い難いホルムズ海峡での機雷掃海の例が出されているのです。
しかし、こうした活動は、自国防衛ではなく他国防衛を目的とするものであり、憲法9条の下では自国防衛しか認められないとしてきたこれまでの政府見解とは矛盾し、憲法違反が疑われます。また、不審船などの現実的な脅威への実効的な対処にはなりません。
私は、あくまで自国防衛としての「必要性」と「許容性」が認められる場合に限り、自衛権行使としての武力行使が認められると考えています。自国防衛に関しては国際法上も最高裁の判断からも、憲法上許容されていると考えられ、また、対処の必要性も高いからです。
政府案と「まぶち見解」との違いは我が国の防衛のため必要な自衛権行使の範囲です。ホルムズ海峡の機雷掃海は、ただちに我が国への攻撃に発展する事態とは言えず、地理的にも我が国の領土、領海、領空を防衛するための行為とは言えないため容認できません。
◆政府案への「対案」
政府案に対しては、単に「憲法に違反するので反対」というばかりではなく、政権を担いうる野党として、責任ある対案を示して行くべきだと考えます。
具体的には、①海上保安庁のみでは対応出来ない海域を「領域警備区域」として指定して自衛隊との連携を強化し、治安出動、海上警備行動を迅速かつ切れ目なく行えるようにする領域警備法の制定、②武装解除、動員解除、社会復帰といった平和構築分野のメニューの追加や、宿営地の共同防衛を可能にするPKO法の改正、③我が国への武力攻撃とは言えないが、我が国周辺地域で安全保障上重要な影響を与える事態が生じた場合に、これまでの地理的概念の上で、避難民支援活動や、アメリカ軍以外への支援を行えるようにする周辺事態法の改正、④それらの改正に対応した自衛隊法の改正などです。これらを組み合わせることにより、今現在我が国を取り巻く脅威に対しての現実的対応を図っていくべきです。
また、これらの上位法として「我が国の安全保障及び国際平和活動に関する基本法」を制定すべきと考えます。その中で我が国の安保・国際平和活動に関する基本的な姿勢を明示し、事態が発生した場合に、迅速かつバランス感覚を持って対応できるように、特措法の検討や審議、執行までの一連の手続きや体制の枠組みをあらかじめ整備しておく必要があります。
こうした現実的な脅威への実効的な対処と、現行憲法との整合性の両方を満たした安全保障の対案を提示し、前のめりに安保政策を進める政府与党に対峙して参ります。(了)
スタッフ日記「天皇の料理番」
ドラマ「天皇の料理番」の評判が大変良く、始めはそこそこだった視聴率もうなぎのぼりなのだそうです。
人気なのもうなずけます。明治・大正という時代に対するノスタルジーがまずあり、気が短くて腰の据わらない、どちらかというと「ダメな人」である主人公が、挫折を繰り返しながらも困難に立ち向かい、認められてゆく姿は思わず応援したくなるものです。脇を固める俳優さんたちの熱演も素晴らしく、私も毎週楽しみにしています。
私がこのドラマに注目するのにはもう1つ訳があります。
実は私の祖父は皇居でコックさんをしていたのだそうです。父が末っ子だったので一緒に暮らしたことがなく、兵庫県出身の祖父がどういう経緯で、どんな風に働いていたのか聞いたことはありません。
ただ、戦時中にはすでに仕事をしていたので、ちょうど主人公のモデルになった方と同じ頃、同じ空間で仕事をしていたことになります。詳しいことを知らない分、ドラマを観ながら「こんな感じだったのかな?」と想像をめぐらせるのがとても楽しいのです。
昭和天皇が崩御されたとき、祖父は入院をしていました。容態と気持ちを考えて、耳に入らないようにしていたはずだったのに、何かの拍子で祖父はそれを知り、すっかり元気をなくしてしまいました。その後しばらくしてあとを追うように亡くなった祖父のことを考えると、形はどうあれ、皇居で天皇陛下にお仕えした記憶はきっと誇りだったのだろうな、とそんな風に思います。
ドラマは7月19日で最終回ですが、主人公たちと(ちょっとだけ)祖父の物語、注目したいと思います!(シズ)