第693号 解散にらむ会期延長
22日、衆議院本会議において、通常国会の会期を9月27日まで延長することが決定されました。通常国会の95日間もの延長は戦後最長となります。
◆強引な成立図る政府
政府与党がこれほどまでの長期延長を強引に決定したのは、なんとしてでも安保関連法案を今国会で成立させたいからにほかなりません。安倍総理は4月に、アメリカ連邦議会での演説で、「必要な法案の成立をこの夏までに必ず実現する」と言明したことにより、政府にとって安保法案の成立は半ば「国際公約」となりました。一方、国内的にも自民党総裁選が9月に控えており、安倍総理は党内の求心力を維持するためにも法案を成立させる必要があります。また、その先の憲法9条改正の議論は総理自身の悲願でもあり、そこにつなげるためにも、何としても今国会で成立させたいものと思われます。
しかし、多くの憲法学者や識者が指摘するように、この安保関連法案は憲法9条に関して政府がこれまで示してきた見解や最高裁の判断と相いれないものであり、少なくとも憲法違反の疑いがあることは間違いありません。国会の議論においても憲法違反ではないかという指摘が次々となされてはいますが、政府は説得力のある説明を行わないばかりか、最高裁の判断について、与党と政府の発言が食い違うなど、矛盾が露呈しつつあります。
世論もこうした国会論議の中で、安保法案に厳しい目を向けており、共同通信が20日、21日に行った世論調査では、安保法案に「反対」は58.7%で、5月の前回調査から11.1ポイント上昇し、「賛成」の27.8%を大幅に上回りました。世論の大勢は、法案の成立に否定的です。
◆総理が意図する策
憲法59条のいわゆる「60日ルール」というものがあり、衆院を通過した法案は参院送付後60日経っても採決されない場合、衆院で3分の2以上の賛成があれば再可決し、成立させることができます。
今回、否定的な世論が強まったことは、もっと短い延長で法案を成立させようと考えていた政府与党にとって誤算だったと言えます。政府与党は疑問が噴出する中、この「60日ルール」を使えるように95日もの会期延長に踏み切らざるを得なかったのです。しかし、与党内の足並みの乱れもあり、予断は許しません。
私は、仮に安保法案の成立が行き詰まった場合、総理がその成否を争点として解散総選挙を行うこともあり得ると考えています。野党の足並みが揃わないうちに解散すれば、与党批判の受け皿がないままの選挙となり、自ずと与党が勝利する構図が浮かび上がります。そして仮に勝利すれば、総理は安保法案について国民の理解が得られたと主張するでしょう。
こうした流れは、国会での議論を軽視し、かつ安保法案に対する民意を反映させているとは言えません。しかし、いかなる状況であれ、しっかりと準備を整えておく必要があります。私も、政府案の何が問題で、対案として我が国の安全保障をどう考えるべきか、基本的見解を示し、争点を分かりやすく提示しつつ政府に対し、軸を持った骨太の論戦を展開していきたいと考えます。(了)
スタッフ日記「夏がくる」
日ごとに日差しが強くなり、緑も色濃くなって来ました。梅雨はまだ明けていませんが、すぐそこまで夏が来ています。
私は夏生まれのせいか寒いのが苦手で、冬になると咳がひどく、風邪をひいてばかりいます。だから毎年あたたかい春がまちどおしくて、夏がくるとわくわくします。
先日、友人に誘われて奈良公園のオクトーバーフェストに行ってきました。オクトーバーフェストとは、毎年ドイツのミュンヘン市で開催されている世界一のビール祭りのことです。1810年に当時の皇太子ルートヴィヒとザクセン皇女の結婚式を多くのミュンヘン市民が祝ったお祭りが始まりなのだそうです。
日本では2003年5月に日比谷、10月に横浜で開催されたのが始まりです。最初はそれぞれジャーマンフェスト、オクトーバーフェストと違う名前がつけられていたのですが、2006年「オクトーバーフェスト」に統一されました。
ミュンヘンでは9月の終わりから10月の第1日曜日にかけて開かれますが、日本では10月でなくても、ドイツビール祭り=オクトーバーフェストとされています。
ただ、それも単に日本人が自己流にアレンジしている、ということではなく今回の奈良会場のように、ドイツ観光局が後援しているものも多く見受けられます。グラスのポイ捨てを防ぐために、飲む前に1000円と引換えにグラスを受け取り、帰りにグラスを返却するとその1000円が戻ってくる「デポジット制」を採用しているところは環境大国ドイツらしいなあと思いました。
会場では、たくさんの種類のドイツビールとソーセージなどの食べ物が販売されていて、日に数回バンドの演奏も行われています。おいしいビールを飲みながら、わいわい。これも夏の楽しみですね。(まーちゃん)