第685号 脱原発依存へ大臣申入れ
28日、経産省は2030年の電源構成(エネルギーミックス)についての原案を発表しました。内容は原発が20~22%、再生可能エネルギーが22~24%で、かねてから私が指摘していた通り、原発回帰の姿勢が鮮明となっています。
◆政府原案の矛盾点
昨年4月の政府のエネルギー基本計画では、「原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電の効率化などにより、可能な限り低減させる。」と明記されています。
ところが今回の数字は、東日本大震災前の2010年度の28.6%と比べてもわずかに低いだけです。つまり、ほぼ震災前の水準で原発を稼働させていこうというのが経産省の方針であり、とても「可能な限り低減させ」ようとしているとは思われません。
また、この水準で原発比率を維持するためには、現在停止している原発の再稼動を進めるだけではなく、原発の新増設やリプレース(既存原発の建て替え)を行う必要があります。なぜなら、既存の原発が40年を超えて運転を続けるには、原子力規制委員会の厳しい審査を経なければなりません。この審査の見通しが不透明であることに加え、老朽化した原発の自主的な廃炉が進んでいくことが考えられるからです。
ところが、経産大臣は記者会見や国会答弁において繰り返し「現時点では、新増設リプレースも含めて、想定していない」と述べています。原発の新規建設には国民の反対が強いことを考慮しての発言だと考えられますが、経産省の原発比率20%超維持の方針とは整合性が取れない、苦し紛れの矛盾した説明だと言えます。
さらに、株式関係を通じて国の間接的な影響下にある日本原子力発電株式会社は、2015年度の経営の基本計画において、敦賀原発3号機、4号機増設計画の推進を掲げ、具体化を図るとしています。
これらを考え合わせると、政府は建前上、原発比率を低減させ、新増設はしないと表明しながら、本音では着々と再稼動と新増設に向けて動いているのです。
◆経産大臣への申入れ
21日、このような政府の動きには何としてもストップをかけなければならないと私はネクスト環境大臣として、他の民主党議員とともに、宮沢経産大臣に対して民主党としてのエネルギーミックスに関する提言を提出しました。
そこでは、福島第1原発事故の反省と教訓を踏まえ、①原発ゼロ社会に向けた道筋を示すこと、②分散型エネルギーの普及によるエネルギーの地産地消を実現すること、③省エネルギー・再生可能エネルギー・スマートグリッドといったグリーン分野を通じて社会変革を図ること、④温室効果ガス削減長期目標を達成する道筋を示すこと、の4点を直ちに行うべきであると記載し、原発に依存する社会から再生可能エネルギーなどのグリーンエネルギーが主力となる社会へと大胆な転換を図る決意を示しました。
エネルギーの安定供給・経済合理性については、現在の状況に甘んじることなく、国の強力な政策により変更可能であるという認識に立つべきです。多くの国民の声である原発依存度の低減とグリーンエネルギーの導入促進に向けて、今後も引き続き全力で取り組んで参ります。(了)
スタッフ日記「サギと父の思いで」
小学校に入って間もない頃だったかと思います。
のんきに田んぼに囲まれた通学路を歩いてた時、子供の背丈ほどの深さの側溝に何かがうごめいているのに気付きました。
こわごわ上から覗くと、なんだか首の長い大きな生き物がいました。よく分からないまましばらく見ていたのですが、もう遅刻しそうな時間だったので、「学校へいかなあかん」そう思って学校へ駈けだしました。
翌朝、父にその事を話すと見にいってくれ、それがワナにかかった鳥のムラサキサギだと分かりました。
父は側溝に降りると、そのサギをワナから外してやりました。そして驚いたことに抱き上げて家に連れて帰り、手際良く傷ついた足に副え木と包帯を巻いて手当をして、囲いのある家の裏庭においてやりました。
僕は時々怒って殴ったりする父がそんな風にすることがなんだかとても嬉しく、その日から家に帰ってそのサギを見ることがとても楽しみでした。
それから毎晩父は仕事帰りにドジョウを買って帰ってくるようになり、そのサギに与えていました。サギは日に日に元気になってゆき、見ている僕まで嬉しくなる日々でした。
でも父のいない引越しの際、取り外したクーラーからのガスでサギは死んでしまいました。それは子供の僕にはとって大変ショックな結末でした。
ただ、今も年老いた父の横顔を見ていると時折その時の悲しい思い出と共に手際良くサギの足に包帯を巻いてくれた父の事を懐かしく思いだします。
そういえば、その引越しの日の夕飯は鶏鍋でした。その「鶏」がニワトリだったのかどうか、何となく聞けずにいます…。(チュウ)