第662号 異例の二閣僚同時辞任
今週、国会は、小渕優子経産大臣、松島みどり法務大臣の二閣僚の辞任により、審議がストップする異常事態となりました。
◆看板優先の政権運営
両氏は、政治資金規制法や公職選挙法違反の可能性が指摘される中、十分な説明を果たさないまま辞任しました。小渕前経産大臣は、「観劇会」をめぐる後援会の収支の食い違いについて、「大きな疑念があると言わざるを得ない」と認める一方で、その理由については「わからない」と述べ、また、松島前法務大臣は、指摘される選挙区内での「うちわ」の配布について、「あくまで討議資料だ」と繰り返し主張しています。これらの発言から分かるのは、今回の閣僚辞任は、辞任した本人たち自身でさえも理由がわからない中での辞任ということです。まして、国民は、何が起こっているのか全く理解できません。
政権は、今国会のテーマに、地方創生と女性活躍推進を掲げ、両氏は、女性活躍の象徴として閣僚に登用されました。看板としての役割を優先した人事を行い、看板としての価値がなくなると、バッサリと切る。辞任した両氏の議員としての説明責任が求められるとともに、安倍総理の任命責任が問われます。
加えて、人事だけでなく、政策も、中身ではなく看板優先になっていないか。今回の二閣僚辞任は、安倍内閣の政権運営の姿勢や構造的な問題の現れと言っても過言ではありません。
◆土砂法の代表質問が中止に
21日に衆議院で審議予定だった土砂災害防止法改正案について、私は代表質問に立つ予定でした。しかし、結局、閣僚辞任により審議はストップし、代表質問は行われませんでした。
今回の法改正は、74名が犠牲になった8月の広島市土砂災害を受けての改正であり、その趣旨には賛同するものです。しかし、その教訓を活かすため、今回の災害で明らかになった問題点の十分な検証が必要です。
今回の土砂災害における問題点は二つ。一つは、土砂災害防止法に基づく警戒・特別警戒区域の指定が進んでいないこと、もう一つは、避難指示・勧告の遅れです。警戒・特別区域の指定については、法制定後、10年以上が経っているにもかかわらず、全国で指定が完了したのは、青森、山梨、福岡の三県にとどまっています。広島市の土砂災害で被害が大きかった地区についても、指定の前提となる基礎調査が完了し、危険性が認識されていたにもかからず、警戒区域指定はまだされていませんでした。法制度があっても、警戒区域指定がなければ、防災のスキームは十分に機能しません。指定が進まない理由として、予算と人員の不足、さらには、指定により不動産価値が下がるという住民の懸念が指摘されており、これらについての早急な対応が必要です。また、避難勧告については、自治体が発令に迷う基準等の存在が背景にあります。これらの問題点の指摘と対応策の提案を、綿密に準備していたにもかからず、残念ながら代表質問は急遽中止となってしまいました。
今回の一件により、限られた会期の中、国民の生活と命を守る大切な法案の審議が延期となりました。政権に、「国民の生活を守る」という最も大切な視点が欠けていないか、安倍政権に猛省を求めます。(了)
28275+α
ちらほらと「就職活動」の文字を見かける時期になってきました。今年は2016年卒の就活スケジュールから大きく後ろ倒しのスタートになっているようなので、まだまだみんな準備段階という様子ですが、慣れないスーツを着ている学生を見ていると自分のときを思い出し、応援したくなります。
学生たちがいろんな可能性、未来を夢見て頑張っている就職活動ですが、さてこの「職」の数、これは一体いくつぐらいあるのでしょうか?
ふと学生のみんなと話しているときに気になって調べてみたところ、ハローワークの募集に使われる、2012年の厚生労働省編職業分類では「28,275」もあるそうです。日々、新しい商品やサービスが生み出されているので、「28275+α」ですね。これを全て体験しようとすると、「一日署長」とかではありませんが、「一日○○」という形で一日一職こなしても、約77年かかる計算になります。
この数字を前にして、自分の就職活動のときは、面接を受けてもせいぜい60社、職種にして10も無かったので、あぁ、なんと狭い世界だったのだろう…と今更ながらに思います。
サラリーマンとして一度就職しましたが、当時は議員事務所で働くことになるとは思ってもみなかったので、人生どうなるのかは分かりませんし、本当に楽しいものだと実感します。28,275+αのうちから巡り会えた今の仕事、頑張りぬいてしっかりとやっていこう!と学生の子達を励ましながら自分の決意も新たにした残暑のある日でした。(SCハマー)