第637号 鹿児島補選を受けて 

2014年5月3日 (土) ─

 27日、私が党選挙対策委員長として陣頭指揮をとった衆院鹿児島2区補欠選挙の投開票が行われ、民主党が日本維新の会、結いの党、生活の党とともに推薦した打越明司氏が、約2万票差で自民党候補の金子万寿夫氏に惜敗しました。

◆九州本土では勝利したが 
 衆院鹿児島2区は、九州本土(鹿児島市南部、指宿市、南九州市の一部)と奄美群島(奄美市、大島郡)から成る選挙区です。投票結果を分析すると、全体では2万票差で敗れたものの、九州本土の3市では、逆に、打越氏が金子氏に1万票以上の差をつけて勝利しています。 

 奄美群島は自民党が強固な地盤を有し、かつ、金子氏は奄美大島出身という状況を踏まえ、今回の選挙戦においては、島での負けを最小限におさえ、本土、特に、無党派層の多い都市部でどれだけ勝つかを念頭において選挙戦略を立てました。私自身が現場に張りつき、陣頭指揮をとることはもちろん、馬淵事務所総出のスタッフ11人を現地に入れ、鹿児島市内の住宅地を中心に、連日、票の掘り起しに努めました。 

 九州本土3市全てで勝利し、1万票以上の差をつけたことは、この戦略が間違っていなかったことを意味します。また、共同通信の出口調査によれば、打越氏が、「支持政党なし」の無党派層の55.7%の支持を受け、無党派層からも一定の支持を得ることができました。 

 しかし、「政治とカネ」の問題は、自民党への不信という形だけではなく、「政治不信」という形で、投票率に大きく影響しました。今回の投票率は、2012年衆院選の60.55%を14ポイント以上も下回る過去最低の45.99%となり、特に都市部では、鹿児島市の投票率32.79%をはじめ、極めて低い投票率となりました。一方、自民党が強い奄美群島では、奄美市54.16%、大島郡66.84%の投票率となり、結果、島での負けを、都市部の票で挽回することができなかったのが敗因となりました。私も幾度となく島に入り、組織の切り崩しにも動きましたが、結果を覆すには至りませんでした。

◆政権への信任ではない 
 今回の選挙結果を受けて、安倍首相は、「進めてきた政策に一定の評価をいただいたと思う」と述べましたが、九州本土、特に都市部での結果や低い投票率を見れば、今回の結果が政権への信任を意味しないことは明らかです。街でも社会保障や右傾化する政権への不安の声を数多く耳にしました。 

 選挙期間中、自民党は、地域経済活性化やインフラ整備などを中心に訴え、TPPや憲法解釈変更等の争点化を避けました。与党幹部からも「安全保障がストレートに評価されたということではない」との声が出ています。また、TPPについても、選挙終盤に行われた日米首脳会談の共同声明で、砂糖や牛・豚の生産が盛んな選挙区事情に配慮して、実質的な基本合意に達していたにもかかわらず、文言を「前進する道筋を特定した」にととどめ、「大筋合意」との表現を見送ったと言われています。 

 厳しい結果となりましたが、自民党地盤での選挙戦略や、野党間連携等、幾つかの収穫もある選挙戦でした。結果を真摯に受け止めつつ、今後、安倍カラーが強まるであろう政権に対して厳しく対峙して参ります。(了)

 

スタッフ日記「鹿児島市電」 
 先週、馬淵事務所は鹿児島2区の補欠選挙に全力で取り組みました。私も選挙期間中鹿児島に入り活動し、改めて選挙というものを見直すよいきっかけを得ました。 

 その鹿児島の街には、繁華街や大通りを南北に、路面電車がたくさん、新旧入り混じって走っています。応援していた打越候補のマイク納めも路面電車の終点駅でした。 

 路面電車の事を嬉しそうに説明してくれたタクシーの運転手さんによると鹿児島の路面電車は一昨年開業100周年を迎え、中には「501形」という車両は昭和30年からずっとメンテナンスを繰り返し、約60年もの間大切に使われてきた現役最古の車両もあるとのことでした。 

 鹿児島の街で見る緑と黄色のツートンカラーを纏ったレトロな車両は、世界初のブレーキシステムを採用した近代的なデザインの電車や、企業広告がペイントされた電車に交じり、非常に誇らしげに走っているように見えました。 

 車の普及により全国で急速に廃止されていった路面電車ですが、中心市街地の衰退や環境問題・交通渋滞・高齢化問題・コストパフォーマンスの面から、最近は環境意識の高いヨーロッパやアメリカなど世界中で「ライトレールトランジット」と呼ばれ、注目されています。佇まいも風情豊かなので、日本でももう一度脚光を浴びてほしいなと感じました。 

 地域の住民に愛されながら桜島の火山灰にもめげず、維新の街を明日に向かって進んでいく。美しい桜島を遠景に鹿児島の街を走る路面電車のひたむきな姿に励まされた気がしました。(お松)

第637号 鹿児島補選を受けて