第619号 国民不在の原発回帰
経産省の審議会が、中長期的なエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の原案をまとめました。政府は、この原案をもとに、年明けにも基本計画を閣議決定する見込みです。
◆原発推進回帰が鮮明に
民主党政権は、昨年9月の「革新的エネルギー・環境戦略」(エネ環戦略)において、「2030年代の原発稼働ゼロ」を掲げ、将来に向けた脱原発の方針を示しました。一方、今回の安倍政権の基本計画原案は、原発を「重要なベース電源」と位置付け、原発を今後も積極的に活用していく方針を明確にしています。
原案は、「原発依存度については、可能な限り低減させる」とする一方、「必要とされる規模を十分に見極めて、その規模を確保する」としています。一見矛盾するこの記述が意味するものは何か。福島での原発事故後、民主党政権で行った法改正により、原発の運転は、原則40年までとされています。現在ある原発は、2050年頃までには、全て運転40年を迎えます。すなわち、原発の新増設なくしては、「規模を確保する」ことは不可能であり、安倍政権が、今後の原発の新増設を視野に入れていることは明らかです。それにもかかわらず、原案には、原発の新増設に関する言及はありません。「新増設を急いで打ち出せば、世論の反発を招きかねない」との声が経産省から漏れているように、世論の批判を巧みに避けつつ、なし崩し的に原発推進を図ろうとする安倍政権の意図が見て取れます。
◆「もんじゅ」も復活
原発の位置づけとともに、注目すべきは高速増殖炉「もんじゅ」の扱いです。民主党政権のエネ環戦略では、私が主宰する議連の提言も踏まえ、「もんじゅ」について、「成果を確認の上、研究を終了する」としていました。一方、今回の原案は、「実施体制を再整備する」とし、事業継続への方針転換を鮮明にしています。「もんじゅ」については、相次ぐトラブルなどで、1995年の発電開始から一度も本格的な稼働には至っていない上、維持等のため毎年約200億円の予算が支出されています。今後、これまでのように、技術開発のめどがたたないまま、巨額の無駄な投資が膨らんでいくことが懸念されます。
◆国民不在の政策決定
将来の原発ゼロを目指した民主党政権の方針は、民主党だけで決めたものではありません。方針の決定過程において、将来の原発比率を示した3つのシナリオを提示した上、数か月かけ、全国11か所での意見聴取会、パブリックコメント、討論型世論調査などの「国民的議論」を行い、「少なくとも過半の国民が原発に依存しない社会を望んでいる」との分析結果を得て決めたものです。今回、僅か1年前に示されたその「民意」を全く無視した形で、しかも、国会が閉じるタイミングで政府が原案を示したことには憤りを感じます。ここでも、特定秘密保護法の強行採決の時と同様に、民意をないがしろにする安倍政権の本質が見えました。
「一握りの人間だけで決めていく政治」に対峙し、開かれた決定過程で、民意を吸い上げ、政策を練り上げていく政治を実践する。民主党の役割はそこにあると認識し、来るべき国会論戦に臨みます。(了)
スタッフ日記「全国酒豪マップ」
私はお酒が飲めません。この季節は酒の席が多くなりますが、いつも烏龍茶かジュースです。実は親戚一同みんな下戸ばかり。実はこれ、私の出身地三重の特徴で、日本の中で最もお酒に弱いのが三重県人なのだそうです。
筑波大学の原田勝二先生の研究、通称「全国酒豪マップ」によると、お酒に強いか弱いかは、悪酔いの原因物質、アセトアルデヒドを分解する能力が高い「酒豪遺伝子」を持っているかどうかで決まるそうです。
三重県人はこの遺伝子を持っている人が全国最下位の39.7%で、1位の秋田76.7%のほぼ半分しかいません。ちなみに、奈良県は53.3%と全体の40位です。九州や沖縄、北海道そして東北の人たちは酒豪遺伝子を持つ人が多く、近畿・中部は全体として低いそうです。
この遺伝子、もともとは大陸からの渡来人より伝わってきたそうで、古(いにしえ)の政治の中心、かつての都を目指し移り住んできた大きな歴史の流れを感じられます。
しかし三重県、お酒では負けても、食べることに関しては負けません!食ってばかりのグルメ県、甘いもの大好きで、伊勢参宮街道の名残もあり「あんころ餅」だらけです。全国的に有名な赤福をはじめ、御福餅、返馬( へんば)餅、二軒茶屋餅、太閤出世餅、岩戸餅、まつかさ餅、おきん餅、長餅、関の戸、安永餅、利久餅といった「名物餅」が多数あります。伊勢参りの際はぜひ一度ご賞味ください!
酒豪遺伝子を持っていらっしゃる方も、酒量は程々に。皆様よい年末をお過ごしください。来年も素晴らしい年でありますように。(SCハマー)