第614号 小泉「脱原発」発言 

2013年11月16日 (土) ─

 小泉純一郎元首相が原発の「即時ゼロ」を唱え、注目を集めています。

◆議論の出発点は正しい 
 主張の細部は別として、その発信には、さすがと思える部分があります。小泉氏は放射性廃棄物の最終処分場もないのに原発を進めるのは無責任だ、というところから始めているからです。 

 脱原発の議論は、原発事故を見て「放射能が怖い」とか「日本は被爆国なのに本当は核を持つのはおかしい」といった感情論・抽象論からスタートする場合が多いのですが、しかし、それでは、本来の議論にはなりません。現実に核のゴミは生じていて、その行先が決まらない状態が続いている。世界中を見ても、今もって解決策は見つかっていない。その現実に向き合うことを出発点とすべきです。 

 私は2011年10月、議員連盟「原子力バックエンド問題勉強会」を設立してこの問題に取り組んできました。数十年もの間、核燃料の再処理も進まず、最終処分場も決まらない核燃料サイクルは、フィクションでしかありません。そこに目をつけた小泉氏の着眼点、方向性は正しいと言えます。小泉氏もやっと気づかれたのかという印象ですが、この問題に光があたったことを肯定的に捉え、私も引き続き、使用済核燃料の問題に取り組んでいきたいと思います。

◆ワンフレーズの嘘 
 しかし、小泉氏の発言には、「ワンフレーズの嘘」とも言える部分があります。 

 「即時ゼロ」と言っても、国内には、既に17000トンもの使用済核燃料があり、これは、すぐにゼロにはなりません。本当に「原発即時ゼロ」を言うのであれば、使用済核燃料の問題にも道筋をつけなければ無責任な議論となってしまいます。だからこそ、民主党のマニフェストでは「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」と書いています。 

 確かに民主党の公約はわかり難いかもしれません。「2030年代に原発稼働ゼロ」という将来の目標と、「あらゆる政策資源を投入する」という目の前の政策という、2つのことを訴えているので、どうしても説明調になってしまいます。 

 小泉氏はワンフレーズで「即時ゼロ」と言います。不正確ですが、わかりやすく、ワンフレーズが一瞬にして物事を動かすこともあります。安倍首相が経済政策を「アベノミクス」と言ったり、福島第一原発の汚染水問題について「アンダーコントロール」と説明したりしたのも、小泉流を意識してのことだと思います。 

 民主党もかつて、ワンフレーズ・ポリティクスの発信を行い、その後、塗炭(とたん)の苦しみを味わったという経緯があります。子ども手当しかりです。その怖さを知ったがゆえに、民主党の発信は説明調になっています。 

 しかし、私はそれでいいと考えます。もちろん、わかりやすく伝える努力は必要ですが、受け狙いはやらなくていい。「それじゃ票は取れない」と言われるかもしれませんが、無理にワンフレーズで説明せず、丁寧に実直に政策を訴えていくことこそが重要です。実際の問題はワンフレーズで語れるほど単純ではなく、複雑な問題を分かりやすく伝え、丁寧な議論をする。それが民主党の生きる道と考えます。(了)

 

スタッフ日記「ヒデキ、感激!そしてびっくり」 
 先日、代議士の議員活動10周年記念バスツアーを行いました。ご参加頂きました皆様に心より御礼申し上げます。 

 さて、その企画が立ち上がったのは1か月程前の事でした。1泊する熱海での大宴会で、何かの形でお礼ができないか…。考え出されたのが、スタッフによるサプライズ企画です。私に与えられたミッションは西城秀樹になりきり、あの名曲「ヤングマン」を踊ることでした。しかもセンターで! 

 ここで問題発生です。私には、リズム感がありません。もし「リズム感ない人グランプリ」なるものがあれば、おそらく全国大会出場レベルでしょう。 

 そこから、ミュージックに嗜みのあるシズさんを教官として、血のにじむような鬼特訓が始まりました。「はい、スターは後ろに下がらないッ」「指先が曲がっているッ」等々、厳しくも尤もなアドバイスを多々頂き、私としてはザ・センターダンサーとして日々成長して行っているとの実感を得ていました。 

 が、どうもシズ教官の目にはそうは映っていなかったようで、出発前夜の練習では「もういいです。無理に音楽に合わせないで、元気よくステージを走り回ってくれればいいです」 

 !!。私に衝撃が走ったことは言うまでもありません。 

 そして、本番。ともかく必死に踊りました。必死過ぎて、出来栄えは自分では全く分かりませんでしたが、手拍子や一緒に踊って下さるなど、会場の皆様には楽しんで頂けたようで、それが私にとっての救いでした。 

 終了後、ある方から「どこの事務所?」との質問を受けました。「(馬淵)東京事務所です」「東京のレベルではないよ」「…」「熱海のどこの(芸能)事務所だい?」…どうやら、場末の芸人と間違えられていたようなのです。 

 そんな感じで色んな思いを抱えたまま、私の熱海の夜は更けていったのでした。(ホーリー)

第614号 小泉「脱原発」発言