政府では、昨年2月に民主党政権下で閣議決定した「社会保障・税一体改革大綱」に基づき、難病対策の見直しに向けた検討が行われています。

◆難病対策見直しの必要性　
　難病は、患者の数が少なく、また症例・疾患が多岐に渡るため、製薬会社等が莫大な研究費をかけて薬剤や治療法を研究開発することが難しい状況にあります。そのため、医療費を助成することにより、できるだけ多くの難病患者の方に受診をして頂き、調査研究を進めるというのが現在の仕組みです。　

　しかし、難病患者への医療費助成は法的制度ではないため、高齢化等に伴い難病患者が増え続ける一方で、予算額の十分な確保が難しく、平成24年度には自治体に289億円の超過負担を強いています。また、このような状況の下、医療費助成の対象疾患は、56疾患に限定されており、数百疾患以上ある難病の中での公平な助成のあり方が課題となっています。さらに、医療費助成だけでなく、拠点病院や専門医等の医療体制の整備、福祉サービス、就労支援等の総合的な対策も必要です。

◆見直しの方向性　
　以上を踏まえ、民主党政権で昨年2月に閣議決定した上記大綱では、難病対策について、「医療費助成について、法制化も視野に入れ、助成対象の希少・難治性疾患の範囲の拡大」「治療研究、医療体制、福祉サービス、就労支援等の総合的施策の実施」を目指すとしました。これを受け、厚労省では難病対策委員会で議論を進め、今年1月に改革提言をまとめました。提言では、①治療方法の開発と医療の質の向上、②医療費の助成対象を現在の56疾患から拡大するとともに、患者負担のあり方を見直す、③日常生活や就労支援、難病を持つ子どもへの支援等が盛り込まれました。今後、法制化作業を進め、秋の臨時国会ないしは来年の通常国会に法案提出される見込みです。

◆政治の役割　
　今週15日に山口にて、私が特別顧問を務めるNPO法人山口県難治性血管奇形相互支援会の方々と意見交換をする機会がありました。難治性血管奇形とは、血管の形成異常が生じたもので、原因は不明。全身のどの部位にも発症し、はれ・痛み・変形・感染・出血など様々な症状が出現し、治療法が確立されていない難病です。患者数は、数千人程度と推定され、現在、医療費助成の対象とはなっていません。山口県職員の有富健理事長は、約10年前に発症し、2010年にようやく診断がついたとのことです。県内に専門医がいないため、岡山市の病院に通院し、これまで交通費も含め700万円以上を自己負担しているといいます。話を聞き、政治の役割は、小さくとも切実な声に耳を傾け、そこに光を当て、現実に即した解決策を模索し、実行することであると改めて感じました。　

　民主党政権で改革の道筋をつけた難病対策の見直しですが、詳細部分については、法制化を踏まえ今後の作業となります。助成対象に指定されない疾患への福祉サービス・就労支援等の多様な支援網のあり方も含め、総合的な難病対策確立に向けて、現場の声を大切にし、残された課題について着実に取り組んでいきます。（了）

 

スタッフ日記「川口浩探検隊？現る！！」　
　私の住んでいる町は夜でも真っ暗になることがないので、マンションの配電盤がショートして電気が落ちても、その水が濁っているのが何となくわかりました。　

　高さは約70cm。それが窓の外側に溜まっていて、コード1本だけで繋がった洗濯機が斜めに浮かんでいます。水の押し寄せた窓は水族館の水槽のようでした。　

　その水は窓の桟から入り込んできました。はじめは少しずつだったはずが、気がつくと30cm近くにもなっていて、暗い部屋の中にボコボコと水の入ってくる音が間断なく響いていました。玄関のドアは水圧で開きません。　

　4月6日未明、豪雨で私の部屋が床上浸水をしました。私自身にはそれほど現実感がなく、とりあえず報告、と母にメールをすると、即座に「消防呼んだから！」と電話がきました。オオゴトです。　

　町中で同様の被害が起きているらしく、待つこと1時間強、ようやくサイレンの音が聞こえてきました。安否確認をして作業が始まり、玄関の内側で待機していたところ、反対側の窓からうっすら明かりが見えました。非常階段を使って別の隊員さんが様子を見に来てくれたのです。防水服にヘルメット、鉱山で働く人のようなライトをつけ、濁った水に腿まで浸かって歩いてくる4人の隊員さんの姿はメコン川を探索する川口浩探検隊に姿こそ似ているものの、それよりもはるかに感動的でありがたいものでした。　

　救助はその1時間半ほど後のこと。その間、隊員さん達はずっと労いの言葉をかけ続けてくれました。おかげで大人なのにおぶわれるという気恥ずかしさはあったものの、不安になることは全くありませんでした。　

　消防士さん、本当にありがとうございました。（シズ）