第541号 日銀のあり方を考える
現在、デフレ脱却のための金融政策を実施してゆく観点から、日銀法改正の機運が与野党共に高まりつつあります。ポイントは、97年の日銀法改正において主眼とされた日銀のあり方の「独立性」と「透明性」の確保です。この2点が疑わしいという見方が今日の日銀法改正議論の動機ともなっています。
◆日銀の現在のあり方
あまり知られていないかもしれませんが、日銀は現在、法人としてジャスダック登録されており、株式に準じて取引がなされています。資本金は1億円で、そのうち政府の出資は55%、それ以外は2010年3月現在、個人や金融機関、公共団体、証券会社などが所有しています。これらの民間株主(出資者)は経営には関与できないとされているものの、5%以内の配当権を持っています。
こうした状態について97年の日銀法改正の際に政府が本質的な議論をした形跡は特に無く、「差支えがない」と現状を追認している状態でした。
日銀は中央銀行であるため、法人形態を取るのであれば、国が100%の保有をするべきという主張は筋として成り立ちます。また、昭和35年に金融制度調査会が民間、政府のいずれの出資も消却して無資本法人化することを提言していますが、これも悪くは無い形です。
基本的には、どのような資本構成であれ日本銀行が確実に国に帰属するように維持することが重要なのです。
◆諸外国の状況
一方、諸外国の状況はどうでしょうか。
米国では連邦準備制度理事会(FRB)は連邦の機関として株式は発行しません。また、FRBの下で中央銀行の業務を担う12の連邦準備銀行(地区連銀)は、各地域の金融機関が株主となっており、利益のほとんどは国庫に納付されます。
スイス国立銀行の場合、個人は100株までの保有が可能ですが、2011年年報によれば、10万株式のうち53.2%をそれぞれの州政府と州銀行が、残りを個人が中心となって保有しているものの、連邦政府は一切株式を保有していません。配当は純利益の6%を超えない範囲で行われ、残りの純利益の1/3が連邦に、2/3が州政府に納付されることになっています。
欧州中央銀行の資本は、ユーロ圏の中央銀行と非ユーロ圏の10の中央銀行が出資しており、利益の分配は非ユーロ圏の中央銀行に対して行われます。また、ユーロ圏の中央銀行のうち、フランス、ドイツは100%国有、オーストリアやベルギーは政府と民間で半々、イタリアは完全に民間資本となっています。
そしてイングランド銀行は100%国有の資本で、利益処分は英・大蔵省に対してなされます。
以上、国ごとに様々な経緯があるため、状況としてはまちまちです。利益処分については、スイスこそ一部配当がありますが、基本は国や地方に収められる構造になっています。
日本に立ち返って考えると、確かに現状でも利益処分は5%未満に限定されているので、政府以外の出資者が経営に関わる可能性を心配する必要はないかもしれません。しかし、日銀法の改正を行うに当たっては、こうした資本構成も含めた法人のあり方についても改めて考え方の整理があってもよいかと思います。(了)
スタッフ日記「電子レンジがいいんですって…」
炊飯器を軽く見ていたのがそもそもの間違いでした。
1人暮らしを始めた6年前、他の電化製品に気を取られた私は、あろう事か炊飯器は3号炊きの安価なものを「これでいいや」とばかりにチョイスしました。
はじめこそ特に支障もなく使えていましたが、カーブボールのような曲線を描いてその調子は急速に衰えて行き、遂に一昨年からはどう工夫を凝らしても上は硬めなのに下はべちょっとしたごはんしか炊けなくなってしまいました。
ごはんがおいしくないと、そもそも食事そのものがつまらなくなる、ということをまさか身を以って実感するとは思っても見ませんでした。あの時、本当は冷蔵庫なんかより、炊飯器に投資をすべきだったのです。出来る事なら6年前の私を根気強く諭しに行きたいくらいの気分で1年半ほど我慢してみましたが、もう限界です。
しかし、きちんとした炊飯器はそれなりに値が張ります。今年は部屋の更新料の払いもあるし、大変なピンチです。またしばらく耐え忍ぶか、と思い悩んでいた所、朗報が飛び込んできました。電子レンジで炊飯が出来るというのです。
手持ちの容器で対応できたため、試したところ結構おいしく、これで何とかしのげそう!ン万円の節約になった!と喜び勇んで、方法も含め事務所で報告したところ、代議士が一言。
「そんなもん、鍋で炊いたらええやんか。おこげもできるで」
いや、まあそれはそうなんですけど…。(シズ)