第525号 施政方針と世界の潮流
1月24日、通常国会が始まりました。冒頭での施政方針演説、外務大臣の外交演説、財務大臣の財政演説、経済財政担当大臣の経済演説は政府四演説と称され、この一年間の指針を示す大切なものです。中でも総理による「施政方針演説」は、臨時国会・特別国会で示される「所信表明演説」とは異なり、1年間の国のかじ取りに責任を持つ最高責任者の意思を国民に示す、最も重要な演説です。
国内ばかりでなく世界経済の状況も予断を許さない中で、総理がどのような発信をするのかに注目が集まりました。
◆野田総理の決意
冒頭、野田総理は昨年の内閣発足以来「一つ一つ解決していく」ことを使命と定め、先送りを続けてきた「決められない政治」からの脱却を目指してきた、と訴えました。そして今年を「日本再生元年」と位置づけ、長年にわたって先送りされてきた課題への対処を「政治の責任」として果たしていくことを強く語りました。また、与野党が信頼関係に立って話し合い、結論を出し、国政を動かしていくことが政治の責任である、と述べた4年前の福田総理の施政方針演説の一説を引き合いに出しました。私も、ねじれ国会で窮地に立った当時の福田総理の、振り絞るような願いをこめた言葉を思い出しました。
また、総理は昨年の三次補正予算や関連法案等の与野党合意を挙げ、わずかな違いをあげつらうのではない「大きな政治」が求められている、と野党に呼びかけました。党大会とは打って変わって野党への協力を求める姿勢をとったとも言えますが、重ねて3年前の麻生総理の施政方針演説を引き合いに出して、持続可能な社会保障制度実現のための負担の必要性と、消費税を含む税制抜本改革を訴えることが、本当に与野党協議の円滑な推進につながるのかどうかは疑問の残るところです。
ただ、いずれにせよ、野田総理は今国会で消費税率引き上げのための法案成立に全力を傾けるという覚悟と決意を改めて国民の皆さんの前に示されたのだと思います。
◆米国もインフレ目標設定
一方、欧州に端を発している経済危機への対処については、財政再建の必要性を語るばかりでなく、景気の回復を目標としなければならないとの世界的な潮流が明らかになってきました。
去る25日、米国FRB(連邦準備理事会)はインフレ目標を2%とするという明確な声明を発表し、英国と並んでインフレ目標を設定するという金融政策へ踏み込みました。このため、今日の我が国の、日銀の金融政策により物価目標もない状態が国際社会でも際立つおそれがあります。消費税引き上げへの不退転の決意だけが先走って経済全体への目配りがおろそかにならないよう、与党議員としてしっかりと伝えるべきことをお伝えしてゆかなければならないと思っています。
野田総理の施政方針演説後に、年金制度の抜本改革を含む社会保障の将来像を見据えた改革にはさらなる増税が必要であるとの話が閣内からも出たという報道がありますが、まずは現在の経済状況への深い理解と、国際社会の動き、それから、国民の視線がどこに向いているかを真摯に考えなければならないことを強く感じています。 (了)
スタッフ日記「すっぽんと海賊の親分」
「おい、すっぽんや!すっぽん食わしたるから来い!!」海賊の親分のようなSさんの有無を言わせぬお誘いで先日すっぽんをご馳走になりました。
皆様はすっぽんというものを食べた事をはありますでしょうか?つるっとした茶色の、亀のような形をした、噛み付いたら雷が鳴るまで離さないとかいう噂もあり、すっぽんのように喰らいつけ!、なんて言い方もされる、大人しいイメージの亀の仲間の中では、ちょっと凶暴な感じのやつです。
連れて行って頂いたのは、吉野から移築したという改造中の古民家で、隙間風が吹き、トイレは屋外の仮設、というまさに山賊のアジトのようなところでした。土間から座敷に上がるとオーナー特製の囲炉裏には、大きな鉄鍋があって、だし汁の中に、ぶつ切りのすっぽんと白菜やゴボウ、酒やしょうゆに砂糖を豪快に放り込みます。そして煮えてきた頃合いにお酒を注ぎあい、大宴会の始まりです。
ところが肝心の海賊の親分のSさん、皆が楽しそうにやっている姿を目を細めて見ているばっかりで鍋にも酒にも全然口をつけません。「どうしたんですか?」そう尋ねると、「酒もあかんけど、わしこんなんあかんね!!、これ亀やんけ」、よくよくきいてみると、「昔ちょっと悪かって、親に自衛隊に放り込まれて、調理班に回されたんや。生きた牛や豚をせんど調理させられて、もうあかんね」そう言われて見てみると、鍋の中からこっちを見ているすっぽんと目が合い、何とも言えない気持ちに!
でも国会の事務所でも、奈良の山中でも、囲むだけで絆を深められる、鍋って素敵でいいもんだなあ!そう感じた1日でした。(チュウ)