第522号 消費税率引き上げ論議
年末の29日、党内では税調・社保税一体改革調査会合同総会が大詰めを迎えようとしていました。28日に地元に帰った私も急遽上京しての参加です。
取りまとめの最大の焦点は、「消費税率引き上げ」、即ち「増税」の是非です。
◆怒号飛びかう「取りまとめ」
11月半ばの復興増税取りまとめ後、消費税増税についての論点はだいたい次のようなものでした。①国民に負担を求める前に社会保障経費も含め聖域なき歳出削減を行うべき、②議員自らが身を切る定数削減を先行すべき、③公務員総人件費削減を先行すべき、④増税の前提となる景気の回復を確認すべき、⑤内閣府が示す増税後の経済変動モデルは不適切なので改めて試算すべき、等です。
こうした論点のもと、反対派、賛成派が拮抗しながらの年末押し迫っての税調は、冒頭より怒号が飛び交うなど緊張感に包まれました。
一触即発の空気のもう1つの原因は、前日の9名の離党でした。「野田政権が目指す消費税率の引き上げは政権公約に反しており、容認できない」との離党者の発言は税調出席の反対派の議員の中にも共通していました。党分裂のエネルギーがさらに高まるのか、政権与党として国民に説明責任を果たす事ができるのか、まさに政権交代後で最も緊迫した瞬間の1つだったと思います。総会は運営方法そのものへの疑問などもあり、本論になかなか入らないまま時間が過ぎてゆく状態でした。
そして午後6時半、野田総理出席のなか、ようやく税率引き上げの時期と幅が提示されました。「2013年10月に8%、2015年4月に10%」。この提示に対し、場内からは総理により一層の激しい批判がなされる展開となりました。さすがに野田総理も、このままでの取りまとめは困難だと判断されたのではないかと思います。
◆国民との約束を果たすには
一方、私は非常に冷静な思いでこれらの議論を見つめていました。
私はこの時点での増税は政策として間違っていると今でも思っています。しかし、野田総理が増税に踏み込むのは当然だろうという冷めた思いがありました。8月の代表選であれほどまでに具体的に消費税率の引き上げを今行うべきではない、デフレ脱却を最優先すべきだと主張してきた私ではなく、終始一貫して増税を主張してきた野田代表を選んだのは、他ならぬ民主党の議員たちなのです。党内における最も重要な民主的プロセスによって増税推進の野田代表を選んだ民主党議員たちは、反対するにあたっては即時の解散・離党の覚悟を持つべきですが、私にはそれが感じ取れませんでした。
それは野田総理についても同様です。最終的には税調側が折れ、「2014年4月に8%、2015年10月に10%」と修正されましたが、大きな譲歩とは程遠い結果です。双方に分裂回避の意志が働いた結果ですが、国民への約束がこれで果たされる訳ではありません。ねじれ国会下では増税法案の成立は困難でしょう。となれば、自ずと民意を問う=解散以外に選択肢はなくなります。ただ、その時は議員定数削減と公務員総人件費削減もセットで行うべきです。反対ばかりの野党にも襟を正すことを突きつけて、民意を問うべきなのだと思っています。(了)
スタッフ日記「ワクワクしながら」
「あのなあ、ものごとはワクワク事務所年末年始休業しながらせなあかんのや」。ある時しんどいなあって思いながら仕事に取り組んでいた僕に代議士がふと口にした言葉でした。「やらなあかんと思うてやるのはしんどい!だからエネルギーが続かへんねん、そんな時はなんかワクワクするように工夫してするんや。」人一倍努力家で、しんどい事ができる代議士の口からこんな言葉が出た時は最初、正直意外でした。
人は何かに取り組む時、「ここが悪い、あれが悪い、誰が悪い」という話に始まり、それを修正改善する事にエネルギーを費やしてしまいがちです。もちろんそれは大切なんだろうと思います。ただ長く続いた野党時代に民主党が、どれだけ与党の諸施策が悪いのかにフォーカスして臨んでいた国会での論戦にさして違和感のなかった自分が今、与党の立場でそうした論戦を見ると、つくづく不毛だと感じてしまいます。たとえ何かが悪いという議論が真実を突いたものであっても、そのことをえぐり出すだけでは、そこにはなかなか前向きな力は生まれにくいのかもしれません。
長い間全国大会でなかなか勝てなかった関西の大学ラグビーチームがこの年末に復活の狼煙を上げました。このチームに新たにやってきた監督のスローガンは「やって楽しい、見て楽しい、そして勝つ」。彼らの試合は懸命なタックルと15人がフィールド全体で一体となりながらボールを繋ぐ、何やら見ていてワクワクするものでした。「ワクワクしながら」。今年の僕の目標です。 (チュウ)