第463号 国債大量買い取り
米国は3日、米長期国債を大量に買い取る大幅金融緩和を決定しました。米連邦準備制度理事会(FRB)は、来年6月末までの8か月間に国債を6000億ドル(約48兆6000億円)買い取り、大量の資金を市場に供給することで、デフレに陥るのを防ぎ、より強い経済回復を促すことになります。また、リーマンショック後に購入した住宅ローン担保証券(MBS)償還資金の米長期国債への再投資も継続します。FRBは、今回新たに購入する米国債について1か月につき約750億ドル(約6兆円)のペースで購入し、状況に応じて一段の追加緩和も排除しない方針を示しました。
米国は事実上のゼロ金利政策を維持しています。これまで日本のメディアなどでは「ゼロ金利政策下では、金融政策の余地は少ない」と見る向きもありましたが、FRBは現実に金融政策を実行しました。FRBのメンバーは、追加で5000億ドルの国債を買い入れた場合、FF金利の誘導目標を0.5%から0.75%引き下げるのと同等の効果があると試算しています。以前にも述べましたが、金利には名目金利と実質金利があります。今低いと言われているのは名目金利です。名目金利からインフレ率を差し引いた値である実質金利を下げる余地はまだあるのです。我が国の日銀も先月5 日の金融政策決定会合で、政策金利を現在の0.1%から0~0.1%に引き下げるゼロ金利を容認する金融緩和を行ったわけですが、ゼロ金利政策を行ったうえでなお金融緩和が可能であることを米国は今回実証しました。日銀も金融緩和を行っていますが、十分と言えるのでしょうか。今回のFRBの施策と比較してみます。
ニューヨーク連銀の補足声明によると、FRBが買い入れる国債の額は今回の6000億ドル(約48.6兆円)に、これまで行ってきた住宅ローン担保証券償還元本の国債への再投資分も含めると、来年6月までの購入規模は総額8500億ドル(約68.9兆円)~9000億ドル(約72.9兆円)となり、月に1100億ドル(8.9兆円)前後となるとのことです。これに対し、日銀が先月決定した施策は国債、社債や不動産投資信託(REIT)など5兆円規模の資産の買い取りです。これも事実上の量的緩和であり市場に資金を供給することになりますが、増加したのは5兆円にとどまります。また、「買入れの開始から1年後を目途に」「総計の残高が5兆円程度となるよう買入れを進める」としており、この4日、5日に国債等の買い方の詳細を決めるようですが、単純に割ると月当たりの額は4000億円強であり、米国による買い入れの約20分の1にも足りません。なお、このほかに日銀はいわゆる新型オペ30兆円を金融機関に貸し出す( 2 0 兆円( 貸出期間3カ月)、10兆円(貸出期間6カ月)の基金を0・1%で貸し出す。)ことになっていますが、実際の貸付残高が30兆円あるわけではありません。円の供給量が外貨と比較して相対的に多くならなければ円安にはなりません。一段と円高・ドル安が進行する可能性も指摘されています。(了)
スタッフ日記「野菜たっぷりのシチュー」
最近めっきり日が短くなってきました。仕事を終え事務所を出る頃には、すっかり日が暮れています。日が暮れてくると何となく、夕食の支度が気になりだします。
皆さんは、毎日の献立をどう決めてますか?私は、献立を考えるのが苦手で、スタッフに聞いてみたり、料理の本を見たりしますが、なかなか決められません。忙しさのせいにしてスーパーで、値段の安くなったおかずを買ったりしています。
最近、ちょっと手抜きかなあと自分でも思っていたところ、ある本に「一日に三度食事をするということは、作る楽しみ、食べる楽しみが三度味わえるということ。これを楽しまない手はない」という文章を発見しました。料理を作ることは決して嫌いではないのですが毎日食事をつくることに追われ、全然楽しいと感じていなかったなあ、ということに気付きました。
同じことをするのでも、心の持ちようによって変わってくることがたくさんあります。億劫で、なかなか決まらなかった献立も、そう思い始めると、料理の本を見ても、あれも作ってみよう、これも作ってみよう、と楽しく思えるようになってくるから不思議です。朝晩の冷え込みが厳しくなってきたので、今日は野菜たっぷりの温かいシチューかスープを作ってみようと思います。人は、心の持ちようで幸せにも、不幸せにもなるのかもしれません。今の自分の周りには、まだまだ気づいていない楽しいことがたくさん隠れているのかもしれません。(まーちゃん)