登記オンラインシステム
昨年、決算行政監視委員会の分科会で登記オンラインシステムの問題点を指摘した。答弁に立ったのは、タローちゃんこと河野太郎副大臣。もちろん、僕も答弁要求していたのだが、政治家同士の官僚答弁ではない質疑に、良い緊張感が加わって楽しかった。
しかしその後、副大臣も代わってしまって残念だなと思っていたのだが、オンラインシステムの不備は続いている。これは、何とかしなければならないと、再度分科会で指摘した。
今年の4月1日より、登記申請手数料を1000円から700円に引き下げるインセンティブを付与してオンラインシステムが供用されるようになった。初日に当たる2日に、早くもシステムはパンク。ログイン成功率はあっという間に6.9パーセントまで低下し、「ほとんど繋がらない状態」になった。
当然、メモリの増設やCPUの交換など緊急の対応を行ったが、システムの信頼性を大きく損ねることになる。
その後も、トラブルシューティング対応によってログイン成功率が上がったかと思うと、アクセス殺到によりダウンが再度繰り返された。
長瀬法務大臣に問うた。そもそも、ログイン想定件数が甘かったのではないのか?大体、ひとっつも利用率が上がらないでいたオンラインシステムの現状のアクセス件数を前提に10倍程度しか見込んでいなかったというのはあまりにも、安易ではなかったか。
大臣は平謝りしかない。誤ってもらいたくて質問しているのではない。「登記」という国民の財産等の「権利の保護」に関わる所管としては、姿勢に問題ありだ。とりわけ、登記は申請順位が優先権を決定するだけに即時性の高いオンラインというのは合理的でもあると思うが、繋がらず、登記できず、では本来の目的すら失っているに等しい。
「登記できなかった損害」について質すと、「免責条項」があるなどという答弁にさすがに許せなくなり、「システムベンダーのようなことを言っていていいのか!」と思わず厳しく指摘した。
司法書士さんや関係者の皆さんにしてみれば、今回の法務省の失敗と対応の拙さは、ホレ見たことか!の想いだろう。
オンライン申請で、時間のロスとなる証明書の郵送手続きに対して、窓口受領についても並行して行えるように求めると、局長からは実施する方向の言質を取れた。少しは、前に向いた対応を考えてくれそうだ。
まぁ、30分という短い質疑時間だったが、そこそこ指摘できたと思う。
質疑終了後、休憩が宣され大臣がおもむろに寄ってこられ、開口一番、「いやぁ、私は先生のように機械のことは詳しくなくて...」。
(「別に機械のこと詳しくなくてもいいんだけど...」)と思っていると、大臣は次に、「やはりこのシステムは金がかかりすぎますかなぁ?...、いっそ止めてしまったほうがいいですかなぁ...?」と語った。
正直な人だな、この人。
と、思う間もなく局長が飛んできて、「先生今後ともよろしくご指導お願いいたします!」と大臣をさえぎった。さぁすが官僚、大臣にいらんことしゃべらせないテクニックは抜群だ。
でも、大臣の本音を垣間見たモンネ、僕。