普通の生活

2011年6月25日 (土) ─

 週初めより一部メディアで、地下水汚染防止の地中壁構築についてこう着しているかのごとき報道があったが、着実に進めていくことについては中長期対策チームで東電側代表の武藤副社長と政府側代表の僕との間でも確認していること。

 今回のような報道がなされるにおいて、どのような思惑が政府内、あるいはその他の所にあるかは想像だにできないが、使命を果たしていくしかない。

 繰り返し伝えているが、収束に向けてまず第一に行わなければならないのは当然ながら炉の安定停止である。そしてそれと同時に図らなければならないのが、汚染拡大の防止だ。

 すでに放出されてしまった放射性物質を含む粉塵などはまず飛散防止材の散布によって抑え、そして建屋から排出される気体等も遮へいするために建屋カバリング設置工事も実施した。その間、万が一の事態に備えて無人化施工可能なスラリー輸送のプラント、配管も敷設し余震対策の補強工事も実施。もっとも懸念していた滞留水による地下水汚染もこれを完全に防ぐために地中壁構築もバウンダリー(境界)や断面検討を進めている。

 こうして、東電、政府一体となって封じ込めに向けて一歩一歩進んでいる。この歩みを止めよう、遮ろうとする力には、なんとしてでも立ち向かわなければならない。贅沢や高い望みをかなえて欲しいと願っているのではない、以前の暮らしを取り戻したいと願う多くの被災者の方々のためにも力を振り絞らなければならない。

 連休に結婚した次女から手紙が届いた。

 婚家に同居でスタートした新婚生活がつづられていた。毎日お弁当や、家族の夕食を作っているとのこと。

 そして、「今まで当たり前のように過ごしてきた生活は全くそうでないことに気がつきました。生活することに当たり前なんてないんだね。今更だけど、今、生活していること、一つ一つに対して感謝していこうと思いました。」と書かれていた。

 普通の生活は、決して当たり前ではない。必死な思いで、家族の健やかな日々を願って、のたゆまない努力の上に成り立っている。

 だからこそ、その家族の普通の暮らしを僕たちは守っていかなければならない。なにものにも替えられない、かけがえのないものとして。

 最後に、「父の日、何もできなくてゴメンね」と書いてあった。

 あ、父の日、嫁いだ娘どころか誰からも何もなかったぞ!東京で一緒の長女も何もなかったぞ!

 しかも、こっちも忘れてたぞ!

普通の生活