グランデサラの新たな門出に乾杯!

2007年10月30日 (火) ─

 多摩川沿いの緑豊かな環境の中に、グランドステージ稲城というマンションがあった。

 過去形で語るのは、もはや跡形もないからだ。二年前に発覚した耐震偽装のヒューザーマンションのひとつ。強度不足が発覚し、建物除却、すなわち解体となった。

 24戸の住民の皆さんの苦難は、二年間に及ぶ。退去した先での賃貸住宅生活。住めなくなったマンションの負債。将来が見えなくなった気分に襲われるのは無理もない。

 グランドステージ稲城の皆さんとの出会いは、二年前の耐震偽装問題発覚後。日弁連の消費者問題の討論会などでお話しする機会などに事細かに被害者住民の皆さんの苦労をお聞きした。国土交通部会でのヒアリングへの参加などもしていただいた。

 建て替え決議へ向けての、住民全員の絶え間ない努力が続いた。そして、二年の歳月を経てようやくこの10月29日に建て替えマンションの起工式に至ったのである。

 ぜひ参加してほしいとの連絡を受けて、万難排して参加させていただきたいとお返事した。奈良から新横浜、菊名、武蔵小杉と乗り継いで矢野口で降りる。グランドステージ稲城は、グランデサラ多摩川と名を変えて生まれ変わる。

 建替え組合の赤司(あかし)理事長や組合活動に奔走されていた湯浅ご夫妻にお迎えいただく。

 住民の奥様方から、こぼれるような笑顔があふれる。あーっ、良かった...とこちらまで幸せな気分になる。奥様方の、あの弁護士会館や議員会館に来られたころの、思いつめた様子が脳裏に浮かんだ。

 建替えに向けて取り組むご主人を支え、子育てに従事しながら明るく振舞ってきた皆さんのご苦労が目に浮かぶ。さぞかし大変だったろうに、でもこうしてひとつひとつ前向きに解決して生活の基盤が安定した喜びにあふれている笑顔に出会えて、あたたかい気持ちに包まれた。

 このグランデサラ多摩川も竣工までまだ一年近くかかるらしい。真に落ち着くのはまだ先かもしれない。そして、まだ耐震偽装の被害にあわれた住民の多くの方々におかれては建物除却すらできていないところもある。まだまだ、解決はされていない。

 そしていまだに新たな耐震偽装物件が発覚を繰り返す。一方、建築業界は確認検査が降りずに対前年比着工件数は4割減となる大打撃を受けている。業界もまた、被害者でもある。

 この問題の本質はまだ明らかにされていない。僕自身、切り込めずにいる現状を十分認識しながらも、こつこつと取り組みは続く。

 でも、今日はグランデサラの新たな門出に乾杯!

グランデサラの新たな門出に乾杯!