「難癖」とは何事か!
高速道路の問題について、片腹痛い「誹謗中傷」が行われているが、そろそろいい加減にしろとの想いで発言をしていかなければならないだろう。
大臣退任以降、在任中の判断や指示については組織としてのいわゆるゴーイングコンサーンを慮って発言を控えていた。
本来ならどうでもいい類の発言なのだが、あまりにも論点が時代とずれ過ぎているので、さすがに今日の猪瀬氏の発信(http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20111212/293418/?rt=nocnt)には黙っているわけにはいかない。
以下、上記の猪瀬氏の論文を参照のうえ、かつ道路問題にある程度造詣深い方に対しての発信ということで、多少専門的な話であることをご容赦いただきたい。
これまで、合併施行方式は、高速自動車国道への採用実績はなく、主に一般国道の整備に適用されてた。その制度が作られた当初の目的は、料金収入だけで整備が困難な不採算区間について、料金収入と税金の両方の財源を投入することにより、より早く開通させることを可能とすることだった(ここまでは良し!)。
しかしながら、近年の将来予測交通量の減少、建設費の高騰により、全体事業費に占める有料道路事業費の割合は1割にも満たず、そのほとんどを税金で整備する事業が増えてきており、早期開通を目的とした建設のための手法ではなく、事実上、維持管理のため財源を調達する役割しか果たさない手法となっていた。
そのわずかな有料道路事業費も、過大な経済成長を前提とした将来交通量推計(これが、最大の問題!)によって算出された料金収入によって返済されるものであり、将来の景気悪化に伴う料金収入減少による採算悪化のリスクを抱えたものである。
このことは、高速道路会社の毎年の料金収入が、計画上の数字よりも大幅に下回っていることからも明らかである。
また、各高速道路会社が、黒字の決算を公表していることは、単なる日銀の低金利政策の結果、利子負担が一時的に軽減されているからに過ぎず、この低金利といえども、欧州の国債暴落危機という経済状況を見ても明らかなように、景気の動向にかかわらず、利子負担も将来的にいつ上昇に転じてもおかしくない状況にある。
9日に発表された、高速道路のあり方検討有識者委員会の中間とりまとめにおいても、外環の整備手法は、利用者負担による有料道路方式を基本とすべきとの提言がなされているが、今後、将来の料金収入が景気の悪化とともにさらに計画を下回るリスクがあること、また将来金利上昇のリスクがあることを考えると、各高速会社は、今後、借入金による新たな高速道路建設を行わないことを基本とすべきであり、真に必要な高速道路整備は、厳格な事業評価及び国会審議を経た後、国が責任をもって整備すべきであると考える。
一方、今回の外環を含む大都市部の環状道路など、周辺の高速道路と一体となった料金施策を講じることにより、渋滞解消などの効果があるTDM(トランスポーテーション・デマンド・マネージメント:交通需要管理)施策が実施可能となるほか、管理の効率化が実現できる場合には、当然、有料道路とすることが現実的な場合もある。
その場合には、有料道路として維持管理することを基本とするものの、高速会社による建設への投資は、料金所、管理施設など極力最小限のものに抑えることによって、将来のリスクを軽減すべきである。
繰り返しになるが、有識者検討委員会や猪瀬氏のように、これ以上、高速会社に対して借入金による建設投資を期待する姿勢はもはや改めるべきであると結論せざるを得ない。
そもそも施政の失敗を糊塗するために政策変更したなどという、いわれなき誹謗中傷には断固、反論する。