「東京原発」

2011年6月19日 (日) ─

 「東京に、原子力発電所を誘致する!」

 役所広司扮する天馬東京都知事の発言から始まる大混乱を描いた映画「東京原発」のDVDを知人の薦めにより借りる。

 2004年公開当時、東京での上映は新宿武蔵野館とシブヤシネマソサエティの2館だったそうだ。

 東京に原発を誘致するという突拍子な都知事の発言による混乱とプルトニウムを積んだトラックがカージャックされるというフィクションであるが、「都心に原発誘致」という発想の裏側には原子力を持つということを再度最大消費者である都市に住まう人々が考えなければならないというテーマを根底に示した映画でもある。

 原子力に関する科学技術情報は、事実誤認や中には荒唐無稽と思われるものもあるため、映画の表現そのままに受け入れることはどうかとも思われたが、まさに国民が真摯に原子力について考えようとしているときに、フィクションとは言えポイントをついているところも多々。

 現実には、中長期対策チームとして我々は、あらゆる事態に対処するための対策を一つ一つ固めて、現場に下ろしていっている。

 復興と原発収束、そして財源にエネルギー政策。問われている課題は、まさに危機、有事の判断そのもの。

 昨日行われた、半年ぶりの地元でのシビックミーティングでは、お伝えできる限りの現状を話したつもりだ。

 映画「東京原発」のエンディングでは、カージャックテロの混乱を収めた知事が、直接その顛末を会見で述べるのかと思いきや、改めて「えー、このたび、東京都に原子力発電所を誘致することを決定いたしました!」と語る。

 なかなか考えさせられる。

「東京原発」