第一原発サイト入域

2011年6月15日 (水) ─

 菅内閣不信任案決議を否決した後、国会延長や総理退陣についてのさまざまな議論が飛び交っているが、原発事故対策については中長期チームとして粛々とその検討結果を上げ、最終的な意思決定を受けて実施へと進んでいる。

 昨日の1号機のカバリング(原子炉建屋を覆う架構)の模型による東電記者発表も、具体的に実施工事に入る段階まで来たことで行ったもの。こうして、水素爆発時に発生した放射性物質の飛散を抑制していく。引き続き3号機、4号機と検討を行っており、目に見える形での中長期対策が積みあがっていく。

 先週土曜日、NRC(米国原子力規制委員会)、経産省保安院、そして東電中長期対策チームメンバーと共に、第一発電所に入域した。

 Jビレッジから第二発電所へ行き、安全な状態となった原子炉の様子を確認しながら、増田所長以下と会談、さらには千数百名に上る現地での対策従事者の皆さんへの激励を行い防護服に着替えて第一へと入る。防護服にマスク姿は、はた目には誰だかわからなくなるため、マジックで胸と背中にカタカナで「マブチ」と名前を書いてもらう。

 第一原発では免震重要棟で吉田所長との懇談後、サイトへ。目的は、中長期対策チームとして検討立案してきた施策の実施状況並びに検討事項の現場確認。

 そして、その項目は4つ。

 一つは、先の1号機カバリング工事の資材積み下ろしヤードから1号機周辺の高線量地域の養生個所の確認など実施工事に向けての現場確認。二つ目は、最悪の事態を想定した無人化設備による原子炉各号機へのスラリー輸送の設備構築並びに配管の敷設状況の確認。三つ目は、地下水汚染防止のためのサイト周囲全域を囲む地中壁の境界の確認。四つ目が、余震によって崩壊が懸念された4号機使用済み燃料プールの耐震補強工事の実施状況、強度発言の確認。

 これらの現場作業のためにヘルメットに防護服、ゴム手袋、マスク装着の装備になるのだが、これがなかなか大変。暑さと湿気と被ばく線量の関係で、アクティブに活動できる時間には限りがある。体力には自信があるほうだが、これはキツイ。

 高線量のところには近づかないよう気を付けながらも、車を降りて建屋に入室するときは一同緊張が走った。

 所定の作業を終え、Jビレッジのダーティーエリアで放射線サーベイを行い終了。APD(個人放射線計測装置)で確認された積算線量は限界値以下ということで、事なきを得た。

 丸一日がかりだったが、中長期対策チームとして検討してきたことの確認を行い、さらに今後の検討課題である地下壁の境界確認を行うことができた。これで、とりあえずの一定の抑制策が準備される見通しとなる。もちろん、今後、さらに建屋全体を封じ込めるいわゆるコンテナーの検討が求められるが、これについても超長期ロードマップの検討も並行して行っている。

 今後の体制についてはいまだ不明ではあるが、なすべきことについてはしっかりと整理し、提示をしてきた。

 原発収束までは気が休まる時はないが、ようやく次のステージに入るところでの一つの節目となった日でもあった。

 Jビレッジを出たところで、クリーンエリアでマスコミのぶら下がり取材。

 カメラ向けられ原発のことはほとんど聞かれず。即代表選の話。・・・なんか違うなぁ~...と思いながら、仕方なく代議士会での総理の言葉をそのまま引用したコメントを発したら、その日のうちに大騒ぎ...。

 うーん、違うなぁ...。

第一原発サイト入域