第1214号 国会議論の形骸化

2026年3月7日 (土) ─

衆院総選挙で遅れていた予算審議が今週、始まりました。
総理は総選挙での圧勝を背景に、3月までの年度内成立を辞さない構えですが、あまりに予算成立を急ぐことで国会から熟議が失われ、審議が形骸化してしまうおそれがあると考えています。

◆国民会議による「野党排除」
 国会が軽視されていると感じるのは、一つには「国民会議」という会議体の設置があります。高市総理は、国民会議の中で消費税減税を議論することを提案していました。しかし、国民会議に参加するには消費税を重要な財源と認識したうえで、給付付き税額控除導入に賛成する政党に限定するという条件を付けたのです。結果として、自民・維新の与党以外は、消費税減税に慎重な立場を取るチームみらい以外の野党の参加は見送られました。
 このように「排除の論理」を取るならば、はじめから政府与党の案に賛成する政党しか参加が許されない会議の場を設けることに等しく、様々な立場から消費税減税を議論する場ではなくなってしまいます。しかも、
その引き換えのように、国会の予算審議はスピーディーに年度内で成立を、というのであれば、政府案に対して対案を出して十分な議論を尽くすことさえ出来なくなってしまいます。

◆国会内の「熟議」はどこに?
 中道はじめ野党は衆議院選挙において惨敗し、国会で大幅に勢力が減退しました。その結果は国民の皆様の明確な民意として真摯に受け止めています。しかし、選挙で勝ったから予算はフリーパスのように素早く通せば良い、消費税や社会保障はあらかじめ政府の案に賛成する政党だけが集まる場で決定してしまえば良いとするなら、国会議論は無きに等しくなり、日本の議会制民主主義を根本から変質させる構造になり得ます。
 この構造では、国会は政策形成の主体ではなく、国民会議のような特定の結論が先出しされた会議体が作成した政策を追認するだけの「下請け機関」へと押しやられてしまいます。国会審議が形骸化すれば、与党が3分の2以上の議席を握る衆院の状況では、野党の質疑によって法案が修正されたり、対案が実質的に反映される余地も無くなって
いきます。そして、国会でも委員会でもなく、法的根拠も曖昧な国民会議のような機関が力を持つことにより、国会の権限である行政への監視機能が働かないままで政策が決定されることになるのです。民主主義の根幹である「熟議」が失われ、トップダウンの「決断の専制」へと政治の性質が変わってしまう。 そのことを私は危惧しているのです。

◆多様な意見を反映する議論を
 民主主義における熟議とは、時間がかかり、意見が割れ、時に非効率であることを前提とした制度です。なぜなら、その非効率こそが多様な意見を吸収し、権力の暴走を防ぐための安全装置だからです。
 民主主義は本来、決断の速さよりも手続きの正統性を重視する政治体制です。特定の政党、特定の主張があらかじめ排除された場ではなく、国会の場で、多様な立場からの議論を積み重ねることにより、少数派も含めた合意を形成し、民意を反映していく。たとえ与党が圧倒的多数を有していても、そうした国会審議であるべきだと私は思います。

∼スタッフ日記「お世話になりました!」∼
 今回でスタッフ日記も4回目ほどになるでしょうか。一昨年の衆院選の時期からインターンとして働かせていただき、大学で政治を学ぶ者として政治の現場を直接学ぶという貴重な経験をさせていただきました。本当にありがとうございました。
 最後に、国会事務所で働く中で感じたことをいくつか記したいと思います。
 まずは、国会議員の方々が本当に多忙であるということです。予定表を見ると、朝から会議や委員会、本会議が入っているだけでなく、勉強会も開催されています。その合間には省庁からのレクや面談などが入り、予定は常にびっしりです。
 さらに、請願や取材対応、官僚や地方議員の訪問もあります。まさに「身を粉にして」働いていらっしゃる姿が印象的でした。
 次に、議員会館がまるで迷路のようだということです。とても広く、思いがけない通
路や部屋があり、最初のうちは何度も迷いました。議員会館といえば、食事場所が少ないことも少し寂しく感じました。セブンイレブンもありますが、土日は休みため、金曜日の昼には商品がほとんど残っておらず、何を食べるか悩んだのも良い思い出です。
 というように、これまでスタッフ日記を書いてきましたが、最初に比べれば、話題や内容も多少は面白いものになったのではないかと思います。
 最後に、未熟な私を温かく迎え入れてくださった馬淵さん、さまざまなことを教えてくださった国会事務所の皆さま、選挙中にお世話になった奈良事務所の皆さま、他に関わってくださったすべての方々、そしてこの文章を読んでくださった読者の皆さまに、改めて心より感謝申し上げます。
 今まで本当にお世話になりました。 (逃げ恥)

第1214号 国会議論の形骸化