第1200号 高市財政の本質とは

2025年11月8日 (土) ─

積極財政を掲げて自民党総裁に選出された高市総理ですが、所信表明演説や野党代表質問への答弁から、総理の経済財政政策が見えてきました。

 

◆借金を成長でカバー

今までの内閣では、プライマリーバランス(社会保障や公共事業をはじめ様々な行政サービスを提供するための経費を、税収等で賄えているかどうかを示す指標)の黒字化の達成が掲げられ、それに基づいた範囲の予算が組まれるよう努められましたが、それでも実際は赤字続きでした。

これに対し、高市総理は、「“責任ある積極財政”の考え方の下、戦略的に財政出動を行います。」と述べ、「成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現」するとしています。

これが何を意味するかというと、名目成長率を高めることで借金の伸び(債務発行額+利払い)をその範囲内に抑え、結果として借金対GDP比を下げていくということです。

つまり、成長が実現し、経済が伸びて赤字の伸び率を上回れば、その分の借金はカバーされるので、積極的な財政は許容される。よって、積極的にお金を

使って経済成長率を伸ばすべきだという考え方と理解できます。

 

◆インフレ下の状況変化

しかし、積極路線へ財政を転換し、赤字を希釈化していく方針を取ったとしても、プライマリーバランスを無視して良いというわけではありません。実際の経済政策に落とし込むためには、一定の赤字許容額を設定して、赤字が許容される具体的な成長率と借金利払いの基となる金利の見通しを示す必要があります。

「責任ある」積極財政を掲げるのであれば、抽象的な勢いのある掛け声だけではなく、赤字の許容額と成長率、金利、そして成長を実現するための具体的戦略を説得力ある形で示さなければおよそ「責任ある」財政とは言えません。

更に、今は安倍政権下のデフレ下とは違い、インフレが深刻化しています。アベノミクス時代には金利はほぼゼロに張り付き、名目成長率がそれを上回っていたので、赤字は希釈化される方向に働きましたが、今、金利は上昇傾向で、借金の利払い費が増えていく傾向にあります。この中で、金利上昇を上回る成長実現をいかに達成するかについて、具体策の提示が求められます。

 

成長実現への道筋

成長実現への足かせとなるのが国民生活の悪化です。インフレ下で価格が上がると消費税などは連動して上がり、実質的に増税となっていきます。

国民生活はより厳しさを増します。さらに、円安は、高市総理就任後、加速しており、円安による輸入物価の上昇はGDPデフレーターの低下を通じて名目成長率を引き下げる要因となります。つまり、高市総理の財政戦略的には、マイナス方向に働いてしまうのです。

こうした状況下で成長を実現することは容易ではありません。

また、高市総理自身は所信表明で、「この内閣が最優先で取り組むことは、国民の皆様が直面している物価高への対応です。」と述べていますが、給付金や消費税減税には後ろ向き姿勢で、物価高対策の具体策が全く見えない状態です。つまり、成長実現の達成への道筋は未知数です。

今、総理の経済財政政策への期待感だけが膨らんでいる印象ですが、政策の精緻化と道筋の提示が必要です。

私は10日、予算委員会にて高市総理に質問を行います。

高市財政への疑問点を、対案を交えて提示したいと思います。

 

スタッフ日記「みなさま、はじめまして。」

先月から国会事務所にてインターンシップに参加させていただいております。

私は昔から政治や経済に興味があり、大学では経済学について学んでおります。また、来年の春からは大学院にも進学する予定です。大学院入試も無事合格し、ぜひ教科書の世界だけで学ぶのではなく、現場の世界も自分の目で見てみたいと考え学べる場を探していたところご縁があって馬淵代議士の事務所にてインターンとして採用していただきました。

部会や代議士会などに参加させていただき、刺激的な生活を送らせていただいております。政策立案の現場や代議士の先生方の日常を間近で見させていただくことで、報道や教科書だけでは得られない実践的な学びを得ています。

昨日は、衆議院で行われた首班指名選挙で高市早苗新総理が選出される場面や高市総理の所信表明演説を国会で傍聴する貴重な経験をさせていただきました。

インターンシップに参加させていただきまず驚いたのは、国会議事堂の構造がまるで迷路のように複雑なことです!!

一体全体、自分が何階のどこにいるのだかさっぱりわからず、衛視さんに何度お聞きしたのやら、、、。

衛視さんや国会の職員方々は、みな親切で、毎回丁寧に道を教えていただいています。

まだまだ若輩者ではありますが、皆様のご指導をいただきながら、精一杯頑張らせていただきますので今後ともよろしくお願いいたします。

(出木杉くん)

第1200号 高市財政の本質とは