第1193号 総裁選と政治不信

2025年9月27日 (土) ─

自民党総裁選が続いていますが、顔ぶれも各主張も去年の総裁選と同じで、ただ一言で言えば「つまらない」という印象です。

◆緊急的な物価高対策が無い

各候補者の主張を比較すると、まずもっとも関心の高い経済政策について、長期的な賃上げや税制改正には多くの候補が目玉政策として取り組むとしています。その中でも、候補者の一人が掲げた「給付付き税額控除」は立民も結党以来また先の参院選でも公約としてきた政策です。
これは、所得に応じて税控除(減税)を行って手取りを増やすとともに、控除の恩恵を受けられない層には給付を行う仕組みです。
違いは短期・中期・長期を一本の軸でつないだ対策となっているかです。給付付き税額控除導入には、行政のデジタル化によるシステム整備などにはまだ時間がかかります。
そのため、われわれは、道筋としてまず緊急の現金給付、その後最長2年の消費税減税食料品ゼロ%、その間にシステム整備進行と併せて、税で調整する方策で恒常的な給付付き税額控除に移行を図る計画での三段階を示しています。
候補者の一人は、緊急給付には消極的で、消費税減税も明確に主張していません。緊急的な
物価高対策として、今すぐに何を行うかという視点が決定的に欠けていると感じます。
その他の候補者を見ても、消費税減税を積極的に進めようとする候補者はおらず、緊急的な現金給付にも否定的な意見がほとんどです。国民生活は「今」が非常に厳しい状況です。
減税・給付のどちらも否定して、いったいどのような緊急的物価高対策を想定しているのかが候補者から全く見えてこないのです。
また、裏金問題や総裁逮捕で注目されている旧統一教会と自民党議員との関係について、候補者は誰一人明確にするとしていません。自民党内の膿はそのままで、「解党的出直し」などと綺麗ごとだけを並べ立てているごまかし選挙だと感じます。

◆既存政党への不信感
自民党総裁選に多くの国民が白けているのは、既存政治への失望が背景にあります。言論NPOが2024年に実施した日本の民主主義に関する全国の世論調査では、国民の5割が「日本の代表制民主主義が機能していない」と回答しました。
更に、4人に3人が、現在の政党や政治家に「日本の課題解決を期待できない」としており、既存政治に対する不信が著しく高まっています。 有権者の多数はもはや、自分たちを代表してくれている政治勢力が今の永
田町にはいないと思っているのです。
残念ながら、立憲民主党も既存の政治勢力と見做されていることは私も認識しています。これは、SNSでの選挙の発信が弱かったとか、自民党に対する政策の対立軸がどうとか、それよりも、次元の違う構造的問題です。
どんなに、まともで自民党の対立軸たる政策をSNSで届けていたとしても、既存の政治勢力というだけで絶対に投票しないという人たちが相当数いる現実に向き合わないといけないと考えています。

◆行動を持って示すしかない
その上で、失望を払しょくするためには、今まで掲げてきた主要政策、例えば食料品消費税ゼロの実現に真剣に取り組むなど、行動を持って示すしかないと考えています。
そして、立憲はどこの党と連携するのか?とか、大連立を組んで政権に入るのか?などという政局の動きにばかり捉われていることは、まさに既存政党という国民が見放す政治に取り込まれていくことになります。
民主主義への不信感と既存政党への信頼が失われている今、政策実現の具体的行動とともに、我々は国民が望む政策の実現に最も注力していく政党だと言うことを国民に伝えていくことが大事だと思っています。

第1193号 総裁選と政治不信