第1142号 二つの党首選

2024年8月17日 (土) ─

 14日、岸田総理が9月の自民党総裁選に出馬しないことを表明しました。

◆岸田サイクルようやく終焉
 政治改革のように、威勢の良いことを打ち上げては結局行き詰まり、成果無しに終わる岸田総理の政権運営を私は「岸田サイクル」と名付け、6月の国会会期末の際にはそのサイクルの終わりは近いだろうと本ニュースでも書きましたが、やはり予想通りの結末となりました。

 ここ最近まで、岸田総理は改憲策の提示や積極的な外交アピールなどで、総裁選への出馬を探っていたようですが、本人の意思とは裏腹に自民党内の反発は大きく、結局出馬しても惨敗が確実なことから、出馬断念に追い込まれたというのが実際のところでしょう。最後まで岸田サイクルそのものの退陣表明でした。

◆菅総理の退陣劇と同じ
 サプライズのように見えた岸田総理の「退陣表明」ですが、自民党的には今まで繰り返してきた常套手段を今回も使ったに過ぎません。

 3年前、コロナ対応の不手際などで国民の支持を失った菅総理が、このままでは選挙に勝てないという党内事情で総裁選を直前にして出馬断念に追い込まれました。

 その後華々しく総裁選が演出され、何事もなかったかのように岸田総理が誕生し、自民党は直後の総選挙に勝利しました。今回の退陣劇はその時と同じパターンで、衆議院議員の任期が来年に近づく今、二番煎じを今回も狙っていることは明らかです。

 今回の件では、岸田総理に同情すべき点もあります。岸田政権に経済対策などで非があるのは明らかですが、政権失速の最大の原因は裏金に代表される政治腐敗です。

 しかし、旧安倍派幹部など、80名以上の自民党裏金議員たちは、支持率低下は自分たちの責任であるにもかかわらず、わが身可愛さから、岸田総理では選挙は戦えないという身勝手な理屈で、党の顔をすげ替えようとしたのです。

 今回、岸田総理退陣で、裏金議員はほくそ笑んでいることでしょう。身勝手な自民党議員たちに振り回された結果、再選を断念せざるを得なかった岸田総理は、さぞや無念なことでしょう。

 保身と利権しか考えていない裏金議員で構成されたような党が、国民に資する政策を実行できないのは当然のことです。

 自民党新総裁に誰が選ばれるかは不透明ですが、誰が選ばれるにせよ、裏金問題を無かったことにして平然と選挙に臨むようでは、体質は全く変わっていないと言わざるを得ません。

 一部では党の刷新をアピールするために小泉進次郎議員などの若手を選出する動きなども報道されていますが、本当に刷新をするのであれば、85名に上る裏金議員全員を公認しない、と約束するくらのが当然です。

 そうした根本的な対応もしないままでは、たとえ顔が変わっても「なんちゃって刷新」にすぎません。

◆秋の政局は?
 不祥事を新総裁の誕生で覆い隠し、どさくさに紛れて解散総選挙というのが自民党の十八番、言わば「自民党サイクル」だとすれば、今秋の解散総選挙はほぼ確実と見込まれます。今回、秘書給与をだまし取っていた疑いで自民党を離党し、議員辞職した広瀬めぐみ参院議員の選挙区である岩手県で、10月27日に補選が行われる予定です。ならば、新総理の衆院総選挙実施のターゲットもこの日でしょう。

 くしくも、9月23日投開票で、立憲民主党の代表選も行われます。選挙が直後に予想される中、ここでは政権を担える党としての道筋を示せるかどうかが争点になります。

 代表選に対して、私も模索を続けていますが、自民党に代わる選択肢として国民に選んでいただける政党とするための党首選としなければならないと考えています。

 

スタッフ日記「日本のメダルラッシュ」
 金20・銀12・銅13、合計45個のメダルを獲得した、2024オリンピックパリ大会が閉幕しました。

 2か月ほど前、このスタッフ日記にセーヌ川での6キロメートルの川下りパレードからの開会式など楽しみにしています、と書きましたが、終わってみれば日本人選手の大活躍。 お家芸とも言える柔道、体操、レスリング、新たに付け加えるべきはフェンシングとバトミントン、卓球。どの競技を見ていても応援する手に力が入り汗ばんでいました。 パリとは時差が7時間あるので、5時頃目を覚ますと、テレビではその日のハイライトが放送されていましたし、遅いゲームならLIVEでも観戦することが出来ました。

 メダル獲得数は海外での開催では過去最高となったそうです。

 びっくりしたのは92年ぶりにメダル獲得の馬場馬術です。92年前にメダルと獲得したのは西竹一中佐。映画『硫黄島からの手紙』で戦死したバロン西です。1932年のロサンゼルスオリンピックでの金メダルでした。近代5種のメダル獲得にも驚かされました。

 大逆転はスケートボードの堀米雄斗。最終チャレンジで大逆転優勝。ブレイキン、スポーツクライミング。セーリング。飛び込みの日本勢で初の表彰台に上った玉井陸斗。

 そして女子トラック&フィールド種目初のやり投げ金メダリスト北口榛花。明るいキャラでぜひ夢にまで見た70メートル越えを実現して頂きたいです。

 孫が帰ってきたらフェンシングを勧めてやろう。フルーレにエペ、ルールはわからんが突いたらええんや、とすっかりミーハー爺になっています。(スギ)

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