第1134号 閉会、そして終焉へ
19日、今国会最大の争点だった改正政治資金規正法が成立、20日に立憲民主党が提出した岸田内閣不信任案も否決され、通常国会は23日に閉会します。
◆政治とカネ、全く解決せず
今国会は、裏金問題を発端に政治とカネの問題が噴出し、岸田政権が国民の信を完全に失い政治が空洞化した国会でした。
自民党はのらりくらりと事実を隠してポーズばかりの骨抜き改革案を提示し、時間を稼ぐばかりでした。また、維新の会のように、自民党に擦り寄り中途半端な合意文書を作って賛成したかと思えば「騙された」と言って一転参院で反対に回るなど失笑を買うような動きもありました。
結局、出来上がった改正法は企業団体献金の禁止など抜本的な改革には踏み込まず、パーティーもチケット購入者の公開基準額を引き下げる程度、ブラックボックスと言われる政策活動費が何に使われたのかについては、領収書を10年後に公開するが詳細は「今後の検討事項」とするなど、国民を馬鹿にしているとしか言えない代物でした。この改正法で政治が良くなると考えている国民はほとんどいないでしょう。
立憲民主党は、早い時期から企業団体献金の禁止、政治資金パーティーの全面禁止が必要と主張しましたが、自民党は一顧だにもしませんでした。自民党の本質は集金機関であり、献金の見返りに補助金や規制で、既得権を守ってきた歴史を持つ以上、この点で折り合いをつけることなど不可能だったのです。
◆焼け石に水の定額減税
もう1つの大きなテーマは、物価高と国民生活悪化でした。
実質賃金の低下が2年以上続き、生活物資の価格は上昇の一途をたどる中、減税を打ち出したは良いものの、たったの1回限り、それと引き換えに5月末で電気ガス料金の負担緩和策は打ち切られ、世帯月平均2000円の負担増になります。
さらに、少子化対策と称しての社会保険料への上乗せ徴収や、防衛増税が今後本格化していくとなれば、1回ばかりの定額減税を行ったとしても、生活防衛のため貯蓄しようとする世帯が増えるのは当然です。こんなちぐはぐな経済政策では、国民生活向上は見込めません。
このような、政治改革も国民生活への対応も全く出鱈目な内閣が信任に値しないのは当然であり、立憲民主党は単独で内閣不信任案を提出しました。
◆岸田サイクルも終焉か?
私は今年3月の予算委員会質疑で、威勢の良いことをぶちあげては結局成果ゼロが繰り返されるという岸田総理の特徴を「岸田サイクル」と名付けましたが、いよいよ岸田サイクルも終焉に差し掛かってきた感があります。
岸田政権がもはや末期と言われながら半年以上経つ中、今年9月の自民党総裁選では、3年前と同じく現役総理が再出馬を断念し、はなばなしく新総裁を選んで即解散総選挙という流れが出来つつあります。そして、今までにも見られたように、それによって一気に潮目が変わることも十分考えられます。
しかし、誰を選ぼうが自民党は自民党です。
今、私は世話人として「田中角栄研究会」という超党派の勉強会を定期的に開催していますが、「自民党なんて潰れたって日本が潰れなければいい」と言う田中角栄氏の名言とは裏腹に、「日本なんて潰れたって自民党が潰れなければいい」と思っているのではないかと疑うほど酷い状態なのが、今の自民党の姿です。
田中角栄氏が重視した生活者の視点を失い、単に利権保持の集金政党と化した政党を政権から降ろせるのは有権者の力だけです。通常国会が終わり、解散も迫る中、その時は近いと確信しています。
スタッフ日記「パリオリンピック」
7月26日にパリオリンピックが始まります。開会式はセーヌ川で行われ、選手たちは船に乗り、約6キロメートルをパレードするとのことです。それが入場行進代わりとなるのでしょうか?1万人を超える選手たちが船で入場し、川岸では観客が手を振って迎える、という光景を想像するだけでウキウキします。
日本人の出場選手も続々と決まっています。今まさにネーションズリーグを戦っているバレーボールの男子・女子、ゴルフの松山英樹選手なども決まったそうです。
競技そのものは開会式より前の24日、サッカーや7人制ラグビーの予選からスタートです。
今回はこれまでで最も地球環境に配慮した大会が計画されているということです。
例えば、史上初の「使い捨てプラスチックのない大会」として、まずペットボトルの持ち込みを原則禁止とするようです。
代わりに、ソーダファウンテンというドリンクバーの清涼飲料水コーナーに置いてあるようなディスペンサーを会場内200箇所以上に設置し、また、マラソンなどの給水所では、再利用可能なカップを使うそうです。
会場は95%を既存施設の利用で賄い、新しく作るのは、地元住民が真に必要な施設のみ、というのはこれまでのオリンピックにない新しいスタイルです。ヴェルサイユ宮殿で馬術、エッフェル塔の下でビーチバレー、コンコルド広場でBMXなど、おなじみのあの場所で熱戦が繰り広げられると考えると競技+αのワクワクがこみ上げます。
でも何といってもワクワクするのは日本人の活躍ですね。頑張れ、ニッポン!(スギ)