第1116号 国民は増税、政治家は「脱税」
政治とカネの問題の追及が続いています。というより、次から次へと不正が明らかになり、追及を続けざるを得ないのが現状です。
われわれ野党も予算の使い道など国民生活に関する国会審議を行いたいのはやまやまですが、不正を働いて国民を裏切っている議員や、真相を明らかにしようとしない総理を放置したまま、国の予算を話し合うことなど出来ないのです。
◆それでいいのか収支報告
13日、自民党の政治資金不記載アンケートの結果が公表され、その結果82名の現職国会議員に収支報告書への未記載や不正確な記載が発覚しました。その総額は約5億8千万円にも上ります。
不正行為を行った議員の中には、奈良県選出の堀井巌・佐藤啓参院議員も含まれており、両氏はそれぞれ副大臣、政務官を辞任しています。
また、それらの収支報告書の不正の「訂正」もひどい内容です。例えば萩生田議員の支部の収支報告書は、支出の目的や支出総額など主要項目をすべて「不明」として訂正しました。訂正した内容が「不明」で許されるのであれば、およそ「報告書」など不必要と言っているのと同じことです。
◆35日で3億8千万
収支報告書不記載は、政治とカネの問題の氷山の一角に過ぎません。
甘利明議員は、自民党幹事長時代に35日間で3億8千万円もの政策活動費を受け取っていたことが分かっていますが、何に使われたかは「不明」です。
加えて甘利議員は、幹事長時代より前の選挙対策委員長時代には、選挙の陣中見舞いとして、全国の自民党公認候補に100万円を配っていたという報道もあります。
同じように二階俊博議員は、幹事長時代の5年間に政策活動費として50億円を自民党から受け取っていたとされますが、何に使われたのかはわかりません。
パーティーでお金を集めることを批判された議員はよく「政治にはお金がかかる」という言い訳をしますが、仮に自治体議員や関係者にお金をばら撒くことに費やされているなら、いくら集めても足りなくなるのは当たり前のことです。
◆「脱税」は見逃せない
このように大金が何に使われているのか分からないというのが自民党の現状です。
パーティー券をめぐる不記載の政策活動費=「裏金」の行方については、多数の議員が使わずに「保管していた」と説明しているようですが、数百万から数千万円の現金を手元に置いておくこと自体、普通の感覚では信じられないことでしょう。
また、政策活動費は受け取った年の年末までに使い切らないと「雑所得」となり、課税の対象とされます。つまり「保管していた」とするならば、税金を払わなければなりません。
例えば会社経営者が売り上げをタンスの中に入れて放置していれば脱税となります。政治家だけが色々と理由をつけて「脱税」には当たらない、と説明しても、国民から見れば屁理屈そのものです。
政治家が好き放題する中で、つい最近も国民一人当たり月500円弱の上乗せ負担が表明されました。防衛増税を始めとして今後も増税メニューが目白押しです。一方で、2023年10〜12月期のGDP速報値は、個人消費が落ち込んだ影響で、実質で前期比0.1%減、年率換算で0.4%減と、2四半期連続のマイナス成長です。
国民には増税を強いる一方で、自民党議員の「脱税」を黙認していては政治が成り立ちません。
何十年も放置されてきた問題を解決するには、今しかありません。今回ばかりは、済んだことは水に流して忘れましょうというわけにはいかないのです。
スタッフ日記「お水取り」
「終われば春が来る」と言われている「お水取り」は東大寺二月堂の代表的な行事で、3月12日の深夜、二月堂前の若狭井という井戸から観音菩薩にお供えする「お香水」をくみ上げる儀式です。
修二会(しゅにえ)という法会のなかの一行事で、3月1日から14日まで心身を清めた練行衆が十一面観音の前で宝号を唱え、天下安練穏を祈願します。
メインの荒行は達陀(だったん)と呼ばれ、12,13,14日の深夜二月堂内の暗闇の中で松明を燃やし、練行衆が柱や床に体を打ち付け大きな音を響かせる、神秘的なものです。
テレビや写真でよく見る回廊をお松明が運ばれる様子は、暗闇の中火の光が二月堂を照らし出し、そして火の粉が落下してゆく様は草花の春の芽吹きを促しているように感じます。
この時期になると藁でくるんだ真竹を行列で担ぎ二月堂に寄進する人々を目にすることがあります。
これは、12日の一番大きな儀式を彩る籠松明(かごたいまつ)として使われている真竹を二月堂まで届ける行事で「竹送り」と言います。ちなみに竹は奈良市内や生駒市高山地区、京田辺市から寄進されているのだそうです。
お水取りの神秘的で荘厳な雰囲気に惹かれ、この時期、たくさんの方が奈良にいらっしゃいます。
それに合わせ、奈良国立博物館ではお水取り特別陳列として、二月堂曼荼羅の展示などを行っています。
春を告げる古都奈良の1275回目の伝統行事、まだご覧になっていない方は、一度覗いてみてはいかがでしょうか。(スギ)