第1092号 サラリーマンが狙われる
24日、福島第一原発に保管されていた、汚染水を浄化処理した「処理水」の放出が開始されました。
科学的には安全なので問題ないとの声もありますが、「地元の理解を充分に得る」という約束は空手形になったことは否めず、風評被害対策や、汚染水発生対策、今後の廃炉への見通し等が不透明なままの放出は、拙速としか言いようがありません。
◆何に使う110兆円
そのような中、各省庁からの来年度予算の概算要求が明らかになり、総額110兆円を上回る見通しとなりました。特筆すべきはやはり、防衛費の増額です。
防衛省は7.7兆円の予算を要求しており、今年度から約1兆円の上積みです。今後5年間で43兆円を確保するとなると、再来年度以降はさらなる増額が確実です。
さらに、物価高対策や少子化対策は具体的な金額が示されておらず、この後追加される見込みであることから、来年度予算は史上最高予算になることも想定されます。
昨年度の国の一般会計の税収は約71兆円と、一昨年度の67兆円を上回り過去最高を記録しました。普通なら、上振れした税収内でやりくりし、国民に還元することで経済対策とする発想がでてきそうなものですが、どうも税収が増えた分だけでは足りずに、さらに増税を、というのが政府の方針のようです。
◆増税「メニュー」一覧
岸田総理は、表向きはサラリーマン増税を否定しますが、政府が発表する文書からは、増税への布石があちらこちらに散りばめられています。
岸田政権の「骨太の方針2023」では、子ども子育て支援について「国民に実質的な追加負担を求めることなく」進めるとしながら、こども・子育て予算倍増に関し「その財源については、今後更に政策の内容を検討し、内容に応じて、社会全体でどう支えるかさらに検討する」という、増税を匂わせているとしか言えない記載があります。追加負担を求めないというのは、国民に対する空手形です。
また、6月16日の新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版案では、退職金制度の見直しが言及され、6月13日の子ども未来戦略方針案では、高校生の扶養控除の見直しに触れています。
そして、政府が推進する税制の基本となり得る「政府税制調査会中間答申」では、通勤手当の見直し、失業等給付、生活保護費、遺族年金、給付型奨学金等税制見直しにも言及があるのです。
ここまで露骨に増税への布石を記載している以上、政府与党内で、異次元の増税政策へと舵が切られたと言って間違いありません。
◆サラリーマンばかり損をする
これらの増税案のターゲットは多くが、日々の暮らしに余裕がないサラリーマンです。
サラリーマンが狙われるのは、源泉徴収のため確実に税を徴収できることと、「社会全体で負担を支える」という増税の際の魔法の言葉が使いやすいからです。
「少しずつ」「公平に」「全体で」税を負担する制度は、一億総中流時代のサラリーマンなら負担が可能でした。しかし、今やサラリーマンであるから中流で、暮らしに余裕があるという時代はとっくに終わっています。社会の構造が変わっているのに、いつまでもサラリーマンをターゲットにするのは誤りです。
貧しい人も含めて、社会全体から徴収する税をなかなか見直そうとはしないのはガソリンの二重税制でも明らかです。税の集め方を見直さないと、いつまで経ってもサラリーマン増税が続くのです。
スタッフ日記「もう一つの熱戦」
日本中が注目した夏の甲子園は107年ぶり慶應高校が優勝しました。野球に詳しくない私も、最後まで諦めずに突き進む選手の皆さんの姿に胸が熱くなりました。
甲子園がクライマックスを迎える一方で、陸上界の世界一決定戦、オリンピックに並ぶ最高峰の舞台、世界陸上が19日(日)からハンガリーのブタペストで始まり、熱戦繰り広げられています。2025年には、大阪大会以来18年ぶりの東京開催が決定しています!
日本からも総勢76名の選手が出場しており、大会常連の男子100mのサニブラウン選手や7月のアジア選手権で金メダルを獲得した男子400mの佐藤拳太郎選手、東京五輪の1500mで8位入賞を果たした田中希実選手など注目選手も盛りだくさんです。
惜しくもメダル獲得にはなりませんでしたが、サニブラウン選手は男子100m決勝に進出し、過去最高の6位入賞。男子400mでは日本勢3選手が準決勝に進む快挙を成し遂げました。
女子1500m準決勝で敗退した田中希実選手は、日本時間の24日(木)、女子5000mに出場し女子1500mで優勝したキピエゴン選手(ケニア)、ベテラン選手のハッサン(オランダ)と同組でレースを行い、強豪選手が出場する中、14分37秒98の日本記録を更新し決勝進出を勝ち取りました!
この原稿を書いているのは24日の木曜日。大会も中盤に差し掛かっていますが、今週末は男子100m・400mリレーや田中選手が出場する女子5000m決勝と見逃せない大注目のレースが残っています。ブタペストとの時差は、7時間。私も睡魔と闘いながらこの熱い戦いを最後まで応援したいと思います!(まゆつな)